2010年6月10日木曜日
鳥の声
幻聴でもいいから聞きたい鳥の声がある。カッコウだ。おととし5月下旬、いつもの散歩コースで一回だけ声を聞いた。その前は何年間、いや十数年間、耳にしていなかった。去年も聞かなかった。幻の鳥になってしまった。そういうことを知ってほしいので、毎年、カッコウの声を聞きたい、と書く。
記憶はだいたいほかの記憶と合体して変形される。正確ではなくなる。ということであやふやなのだが、わが夫婦が子どもを二人連れて、いわき市平の下平窪から中神谷に引っ越してきたのは30年余前。茶の間のガラス戸を開けておくと、遠く南の夏井川の向こうからカッコウの鳴き声が聞こえてきたものだった。今ごろは盛んに鳴いていた。
すぐ、野鳥に興味を持った。それからは、子どもたちを車に乗せて左岸から右岸へとカッコウを探しに堤防の天端を移動した。河畔の木のてっぺんでカッコウが鳴いている姿をよく見た。持っているカメラがちゃちだったから、撮影してもボケ・ブレだったが、カッコウの居場所はだいたい見当がつくようになった。
が、あるときからぷっつりとカッコウは姿を見せなくなった。夏井川で大々的な河川改修が行われたときと、それは軌を一にする。以来、カッコウは単発的に鳴いても、いついて歌うことはなくなった。
今年もそうだった。5月末、近くに住む息子からケータイに連絡が入った。「六十枚橋の近くでカッコウの鳴き声を聞いた」。六十枚橋は、夏井川の河口から二つ目の橋だ。後日、河口へと車を走らせたが、河畔林にカッコウの姿はなかった。
オオヨシキリはヨシ原で盛んに鳴いている=写真。ホトトギスの声も聞こえる。にぎやかだが、「カッコー、カッコー」の声がないので、やはり満たされない。
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1 件のコメント:
はじめまして。そういえば最近カッコウの啼き声を聞いていないような気がしますね。注意して耳を傾けておいてみます。梅雨のあとは蝉が賑やかになるのでしょうね。安定した四季らしい四季であって欲しいものです。
ところで、地域学会に入りたいのですが、どのような手続きをするとよいでしょうか?
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