曇天の夕方、玄関の戸を開けて外に出ると、泥よけマットにアオオサムシがいた。逃げずに何かを押さえつけている=
写真。押さえつけられているのは茶色っぽい芋虫だ。芋虫は時折、激しく体を振り回す。それでもオサムシは芋虫にくらいついて放さない。
そのうち、雨がぱらつきだした。人間がそばにいようと、雨が降ろうと、オサムシは自分の仕事をやめない。やがて、芋虫は動きを止めた。
くらいついた方も、くらいつかれた方もなぜ玄関先に現れたのか。オサムシに口器で組み敷かれた蝶あるいは蛾の幼虫はクロクモヤガに近かった。撮った写真を見ただけでは特徴が分からない。写真を見ながらさっとスケッチする。と、紋様のポイントが浮かび上がる。それでクロクモヤガに接近した。とはいえ、断定はできない。間違っているかもしれない。
それはそれとして、虫たちが生き死にのドラマを人間の暮らしのそばで繰り広げている。最後の最後まで、というのはオサムシが幼虫をそのあとどうしたかまでは見なかったが、むろん食事の時間に変わったのだろう。
こちらは近くのスナックで2カ月に一回の飲み会があったために、観察を途中でやめて、傘をさして出かけた。昆虫の研究者であれば飲み会をキャンセルして見届けたことだろう。小さな庭ながらそこには生き物のドラマが詰まっている。庭はいつもワンダーランドだ。
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