2010年6月30日水曜日

尺取り虫


朝、歯を磨きながらわが家の庭のあちこちを見る。今は軒下にある発泡スチロールのキュウリ苗を眺めたり、所構わず芽を出し、つるを伸ばすヤブガラシを摘んだりするのが日課だ。

かがんでキュウリ苗を観察していたら、近くの草(花はナス科のそれだが、名前は分からない)の葉に止まって揺れ動いているものが目に入った。長さ3センチほど、太さは1ミリもないだろう。空中に体を伸ばし、先端を左右に動かしながら何かを探している。

片方の端はぴったり葉っぱに着いている。見ると、“いぼ足”が二対、つまり四本足で立っている。で、先端が別の葉に触れ、ギリシャ語のオメガ(Ω)の字になったと思ったら、四本足の方がひょいとそちらに移動した。尺取り虫だった。シャクガの仲間には違いない。何というのだろう。

それよりなにより感じ入ったのは、先端の四本足で長い胴体をひらひらさせている、その無重力的なメカニズムだ。クレーン車だったらすでに倒れている。斜めだけなく、水平にも胴体を伸ばす=写真。それでもしっかり端っこの四本足で踏ん張っている。

宇宙船のアームを連想した。いや、その技術開発前史にはこうした尺取り虫のメカニズムを参考にするようなことはなかったか。

潜水艦のモデルはクジラ? 複葉機のモデルはトンボ? 戦車はダンゴムシ? 宇宙船のアームはともかく、はしご車は、そしてクレーン車はこの尺取り虫のメカニズムがヒントになっていないだろうか、などと思いをめぐらしたのだった。

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