2011年6月11日土曜日

山里の線量を測る①


田村市常葉町の実家では、「東日本大震災」で2階の壁がはがれ落ちるなどの被害に遭った。地震に関しては、浜通りより中通りの方がひどかったのではないか。実家では兄夫婦が床屋を営んでいる。あれからおよそ90日。いわきの平地で被害を、阿武隈の山里の放射線を案じていてもしかたがない。散髪を兼ねて、この目で様子を確かめることにした。

ついでだから、道々で放射線量を測ろう――。6月8日、知人から線量計を借りた。朝に始まった山里の線量チェックは、昼食と散髪の時間を除いて、夕方6時まで途切れることなく続いた。

夏井川渓谷の無量庵を発着点に、グルッと円を描くようにして約130キロ。阿武隈の山里を巡って測定した場所は、およそ60地点に及んだ。文科省の測定地点は避けた。ダブる必要はない。「3・11」からきょう(6月11日)で3カ月。何回かに分けて線量の測定結果を報告する。
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【背戸峨廊】無量庵へ行く前に、背戸峨廊(セドガロ)=夏井川支流江田川=入り口駐車場=写真=で線量を測る。

登山ガイド佐藤一夫さんのブログ「山旅工房『とうほくトレッキング』」で、トッカケ滝までの登山道が落石と崖の崩落で危険――とは承知していた。別の人からは、“せき止め池”が何カ所かにできているらしい、という話も聞いた。いよいよ「セドガロ」が危ない。

いわき地域学會は毎年、2~11月に月1回のペースで市民講座を主催している。今年は2回目の講座が開かれる前に、「3.11」が起きた。中止を余儀なくされた。2回目は、私が<「草野心平とセドガロ」考>という題で話すことになっていた。

それもあって、背戸峨廊の空気に触れておきたい気持ちになった。もちろん、入山するつもりはない。駐車場に続く登山口にロープが張られてあった。

そこに、入山禁止を告げる札がさがっている。「3月11日に発生しました東日本大震災、その後の度重なる余震の影響により、落石・崩落が多数発生し、また、今後の余震でさらに、落石等が発生する可能性がありますので、入山は禁止させていただきます」。4月にいわき市観光物産課が措置した。

駐車場そばの林の縁、樹下にあるコンクリート製テーブルの上。0.263マイクロシーベルト/時。駐車場の防犯灯そばの草むら。0.371。

人間が立ち入りをやめた背戸峨廊は静まり返っていた。

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