2011年6月27日月曜日

北のトリデ


きのう(6月26日)の朝早く、夏井川渓谷へ出かけた。マメダンゴ(ツチグリの幼菌)を探しているうちに小雨になったため、無量庵で“きどころ寝”をしていたら、「車があったから」と川前の知人がやって来た。1カ月半前の5月5日、「川前の荻の放射線量が高い」と、深刻な表情で教えてくれた人だ。あがりかまちで一時間近く、その後の話をした。

大型連休が終わったあとだったか、偶然、専門家の木村真三さんが国道399号から荻に入って来て線量を調べたら、大変な数値が出たという。すでに、住民は線量計で自分たちの身の回りの数値を調べていた。で、荻と志田名ががぜん、いわきの「ホットスポット」として知られるようになった。

5月6日のブログ「川前・荻の放射線量」にも書いたが、行政組織のこと、行政マンのこと(直接にはいわき市とその職員)、国のこと、県のこと、合併の是非、行政区域の適正規模などに話が及んだ。住民からみると、これ以上ないという非常事態にもかかわらず、行政の対応は相変わらず「隔靴掻痒(かっかそうよう)」なのだという。

「14市町村が合併していわき市になったから、川前の問題はいわきの中の一部の問題でしかなくなった。川前村のままだったら大問題、川内村と同じように行動できたっぺね」。私が言うと、彼はうなずいた。

前の日(6月25日)の午後、いわき市久之浜・大久支所=写真=で久之浜・大久地域づくり協議会の総会が開かれた。そのあとに、NGOの「シャプラニール」会員でもある徳島大の森田康彦さん(歯学博士)による線量調査報告会が開かれた。いわき駐在のシャプラニール職員の連絡を受けて、話を聴きに行った。

そのときの雰囲気も含めて感じたこと、久之浜と川前の危機感の違い、復旧・復興への意識や取り組みの違いなどを、川前の知人に伝えた。

いわき市の久之浜・大久支所はいうならば、すぐ北に横たわる、得体の知れない「怪物」に対峙する最前線、いわきの(いや、本来なら中央政府の)「北のトリデ」だ。40年近くいわき市政をウオッチングしてきた経験からして、ここは「原発震災」に対して最も過酷な業務を強いられている行政センターの一つである。のんびりしていられるわけがないのだ。

森田さんの報告と質疑応答は、合わせて2時間15分に及んだ。「起き上がり小法師」のような旧知の支所長氏が、お礼のあいさつの中で「1時間15分」と間違えたのは、それほど中身が凝縮していて、皆が集中して話を聞いていたからだ。すかさず「2時間」の声が飛ぶほどに、支所と住民の間には熱いものが行き交っている。

1 件のコメント:

森田 さんのコメント...

森田です。
0.4μSvより下がるのは大変といったら、雨でうれしく外れるかもと期待してます。(駅で測定中で実は下がってるのを見てました。)
ただ、森は説明したような事態です。川前は大変ですね。話をという依頼もありますが、測定もしないでいい加減なことは言えなく、今は遠慮してます。ぜひ測定はお続けください。梅雨で下がるといいですね。キノコもおいしく食べられるお年ですから秋はキノコ狩りですか?