2008年4月5日土曜日

カタクリ無残


いわき市平近郊の里山へ、十数年ぶりにカタクリの花を見に行った。そこは当時から杉林と化していた。光が十分、林床に届くような環境ではなくなっていた。そばの空き地では不法投棄が繰り返されていた。

何度も通った記憶を重ねながら林道を行く。それらしいところで横道に車を入れたら、前方の山の様子が記憶と違っている。そこではない。バックして林道へ戻り、次の横道に着いたら、奥の奥まで沢と空き地と斜面の映像がよみがえってきた。

入り口にバラ線が張られて車の出入りができないようになっていた。奥の沢には不法投棄された冷蔵庫などが転がっている。不法投棄がよりひどくなったのだろう。

杉林に入ると、杉の落ち葉が分厚く堆積していた。人の手が加えられているような気配はまるでない。「カタクリは」と見るのだが、目に付くのはアオキの芽生えばかり。

あちこち目を凝らしているうちに、やっとカタクリの小さな葉を見つけた。杉が育って葉が密生し、その落ち葉が邪魔になって、いよいよ光が林床に届かなくなったのだろう。数が激減している。足の踏み場もないほど群生していたのが、あっちにちょっと、こっちにちょっと。花を付けているのはごくわずかだ(写真)――これではカタクリ群生地とはとても言えない。

十数年前、「ここのカタクリは滅びるだろう」と感じたのが、その通りになりつつある。それを目の当たりにして「アイド(哀怒)リング」してしまった。

――ただ、人間の勝手な振る舞いがカタクリを滅ぼすのだと認識しつつも、一方では林道でこんな光景に出合って気持ちがやすらいだ。男性が1人、竹ぼうきで路肩の落ち葉を掃いていた。林道がせいせいしていたのはそのためだったのか。

こうして陰徳を積む人間がいる限り、まだまだ大丈夫だと思った(何が大丈夫かは分からないが)。

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