2008年4月26日土曜日

カラス営巣


毎日、ほぼ同じコースを散歩していると、けし粒くらいでも風景の変化が目に止まる。

国道6号バイパス終点の夏井川橋そば。堤防からそれて平中・下神谷(かべや)の住宅地へ戻ろうかというあたりの対岸(右岸)にある木のこずえの真下、幹と枝のまたにシミのような「逆三角形」が見えた。双眼鏡を向けると親ガラスがいる。既に産卵して温めに入ったのだ。

ある日の夕方、いつもの散歩コースを変更して、三脚に望遠レンズを装着したデジカメをかついで橋を渡った。眼下に広がるヨシ原のどこかでキジが鳴いている。橋上からうまく見つけられたら、それこそ「鳥の目」で面白い写真が撮れそうだ。

右岸が真下に見えてくるとおばさんが2人、草むらで菜の花を摘んでいた。橋を渡り、河川敷に下りる。随分広い。何年か前、ごみの不法投棄が発覚した場所だといえば「了解」、となる人もいよう。

ゆっくりゆっくり営巣している木に近づく。芽吹いた緑から巣のある木はヤナギの高木と分かる。が、よく見るともう一本、約20メートル離れた裸木にも巣があって、カラスの尾羽がはみ出している=写真。ヤナギの巣は裸木の三分の一ほどだ。カラスが抱卵している気配はない。つくりかけのまま放棄された――そんな雰囲気である。

カラスが巣をかけた裸木は枝ぶりが変わっている。図鑑その他で調べたら、野生化したニワウルシらしい。この木が少しばかり厄介物だと知ったのは後日。いずれそのことは報告したい。

で、カラスの子育てだが――。3年前に上流の右岸(平北白土)で、やはりヤナギの高木に営巣したのを観察したことがある。毎朝、会社へ行く途中、双眼鏡を当てて手帳に記録をとった。

それによると、抱卵に気づいたのは4月13日。それからほぼ3週間後の5月2日あたりにひなが孵ったようである。5月13日の夕方には親ガラスが巣を離れたあと、黒い頭を二つ確認した。6月に入るとすぐ、巣立ったらしい。6月5日以降はまったくカラスの記述がない。

今度も同じような経過をたどるのだろう。あと何日か後にはひなが孵る。さらに1カ月後にはひなが巣立つ。

人間が暮らす社会の隣、堤防でくくられた河川敷にも「生きものの社会」がある。「いのちのドラマ」が満ちている。

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