田村市の大滝根山を水源とする夏井川は、67 キロ先のいわき市・新舞子海岸で太平洋に注ぐ。夏井川渓谷(いわき市小川町上小川字牛小川)はほぼその中間に位置する。マイカーなら平の街も、隣の小野町も同じ「30分圏内」、行きやすい。
小野町の「夏井の千本桜」が見ごろだという。土曜日、私は夏井川渓谷の無量庵に泊まった。日曜日、カミサンが一番列車で江田駅に降りた。カミサンを拾い、そのまま車を飛ばして千本桜へ直行する。朝7時半過ぎには千本桜が花盛りの夏井川の岸辺に着いた=写真。
夏井川の堤防が完成したのを記念して、地元の人たちが延々5キロにわたってソメイヨシノを植えたのが生長し、ちょうど観賞するのにいい樹齢になった。テレビなどで紹介されるケースが増えたこともあって、花時には各地から詰めかけたマイカー客などでごった返す。混雑に巻き込まれるのがいやだから、早朝の花見行となった。
田村地方を代表する桜といえば「三春の滝桜」だが、ほかにも結構「名木」がある。映画で有名になった船引町の「小沢の桜」、そして人気が急上昇しているのがこの「夏井の千本桜」だ。
私は同じ田村地方の常葉町で生まれ育った。わが実家の町の裏山に、福島県の「緑の文化財」に指定されている「早稲川舘(わせがだて)ザクラ」がある。樹齢700年近いヒガンザクラの大木である。これも「名木」の一つと言ってよい。
「早稲川舘ザクラ」は、私が子供のころは集団遊びの目印のひとつだった。集合場所であり、かくれんぼの基点であり、幼年から少年に変わるときの木登りの挑戦の場でもあった。
そのころは桜の花などにはまったく興味がなかった。だから、小学校入学後の行事かなにかで小学校より高いところにある中学校のグラウンドで見た満開のソメイヨシノ、そして次の年の大火事で一気に満開になった小学校のソメイヨシノのほかは、桜の花に魅せられた記憶はない。
中学校を終えていわき市へ移り、やがて就職・結婚・子供の誕生と一連の流れを経験したあとの、中年にさしかかったころ、だったと記憶する。
たまたまゴールデンウイークに帰省し、町裏のなだらかな畑を過ぎて「早稲川舘ザクラ」に会いに行った。なんとその大木が花をいっぱい付けて待っていたのだ。初めて目にする花盛りの大木。息を飲んでしばし立ちすくんだ。
「夏井の千本桜」からだと、そこまではやはり「30分圏内」。行けばすぐだが、ここは我慢して、30分ほどいて渓谷へ引き返す。だれかが無量庵を訪ねてくるかもしれないからだ。
「早稲川舘ザクラ」は咲き始めたろうか、満開になったろうかなどと、心は大滝根山の上を行ったり来たりした。
小野町の「夏井の千本桜」が見ごろだという。土曜日、私は夏井川渓谷の無量庵に泊まった。日曜日、カミサンが一番列車で江田駅に降りた。カミサンを拾い、そのまま車を飛ばして千本桜へ直行する。朝7時半過ぎには千本桜が花盛りの夏井川の岸辺に着いた=写真。
夏井川の堤防が完成したのを記念して、地元の人たちが延々5キロにわたってソメイヨシノを植えたのが生長し、ちょうど観賞するのにいい樹齢になった。テレビなどで紹介されるケースが増えたこともあって、花時には各地から詰めかけたマイカー客などでごった返す。混雑に巻き込まれるのがいやだから、早朝の花見行となった。
田村地方を代表する桜といえば「三春の滝桜」だが、ほかにも結構「名木」がある。映画で有名になった船引町の「小沢の桜」、そして人気が急上昇しているのがこの「夏井の千本桜」だ。
私は同じ田村地方の常葉町で生まれ育った。わが実家の町の裏山に、福島県の「緑の文化財」に指定されている「早稲川舘(わせがだて)ザクラ」がある。樹齢700年近いヒガンザクラの大木である。これも「名木」の一つと言ってよい。
「早稲川舘ザクラ」は、私が子供のころは集団遊びの目印のひとつだった。集合場所であり、かくれんぼの基点であり、幼年から少年に変わるときの木登りの挑戦の場でもあった。
そのころは桜の花などにはまったく興味がなかった。だから、小学校入学後の行事かなにかで小学校より高いところにある中学校のグラウンドで見た満開のソメイヨシノ、そして次の年の大火事で一気に満開になった小学校のソメイヨシノのほかは、桜の花に魅せられた記憶はない。
中学校を終えていわき市へ移り、やがて就職・結婚・子供の誕生と一連の流れを経験したあとの、中年にさしかかったころ、だったと記憶する。
たまたまゴールデンウイークに帰省し、町裏のなだらかな畑を過ぎて「早稲川舘ザクラ」に会いに行った。なんとその大木が花をいっぱい付けて待っていたのだ。初めて目にする花盛りの大木。息を飲んでしばし立ちすくんだ。
「夏井の千本桜」からだと、そこまではやはり「30分圏内」。行けばすぐだが、ここは我慢して、30分ほどいて渓谷へ引き返す。だれかが無量庵を訪ねてくるかもしれないからだ。
「早稲川舘ザクラ」は咲き始めたろうか、満開になったろうかなどと、心は大滝根山の上を行ったり来たりした。
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