2008年4月13日日曜日

住善寺のシダレザクラ


いわき市平上神谷地内にある住善寺のシダレザクラ(エドヒガン)がきれいだというので、4月11日に行ってみた。わが住まいから車でほんの数分の距離だが、近くに桜の名木があるなんてことは知らなかった。いや、市の保存樹木に指定されているから活字の上では承知していたはずだが、場所を確かめるまでの興味はわかなかったのだ。

住宅地図で見当をつけ、集会所の駐車場をちょいと借りて参道を上って行ったら、満開の桜が目に入った。境内の真ん中に幹回り2.4メートルというシダレザクラの古木があって、何カ所かで枝に支柱が添えられていた。

ちょうど寺を管理しているおじさんがいたので話を聴く=写真。満開の時期は過ぎて花が散り出した。支柱は桜自身が枝の重みに耐えかねて幹が裂けたための措置だという。道理で、幹には「ギブス」がはめられている。痛々しい。

周囲には柵が設けられてある。枝は四方八方に長く伸び、柵のそばに立つと大きな花の傘に入ったような感じ。その枝が噴水のように垂れ下がり、花を付け、葉を広げるのだから、枝を支える幹のふんばり力は並大抵ではない。「葉を広げるともっと重くなるから」とおじさんは桜の枝を見上げながら教えてくれた。

市の保存樹木のうち、桜は住善寺と同じシダレザクラが6本、ヤマザクラが2本、計8本ある。小川諏訪神社のシダレザクラはライトアップされることもあって、今や人気ナンバーワンといってもいいだろう。それに比べたら、住善寺のシダレザクラは知る人ぞ知るといった感じで、ひっそりと花を付け、ひっそりと花を散らす。

それでも江戸時代は磐城平藩の貴顕、内藤露沾公が花見に足を運ぶほどの名所として知られていたようだ。

 世や匂ふみだれうぐひす昼桜
 刷毛もやはさくら産出す田面海
 桜かな梅見廻りて空穂所化(しょけ)
 桜寺立つけ見たし村子供
 神谷寺野田の藤かも桜棚
 花や時新田の往来数珠の音

露沾が住善寺で詠んだ句である(雫石太郎編『内藤露沾全集』)。そのころから「桜寺」だった。といっても、寺に見るべき桜があれば、そこは住善寺に限らず「桜寺」になる。住善寺に近い一山寺でも、露沾は花見に立ち寄り「削立杉戸まばゆしさくら寺」の句を残している。

山中にある住善寺のシダレザクラは、杉林の陰になっているために田んぼの中を走る道路からは、まったく見えない。それもあってか、今まで桜に気づかなかった。灯台下暗し。ニュートラルな気持ちでわが住む地域を歩くと、またなにか新しい発見があるかもしれない。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私のブログへのコメントをしてくださったのは、タカじいさんですよね? タカじいさんのブログはいわきに居なくとも、いわきのことが詳しくわかり楽しく読ませていただいています。話は変わりますが、まだ白鳥は残っているのですか?

匿名 さんのコメント...

タカじいさん 当方のブログへの書き込みありがとうございます。タカじいさんのブログはいわきに居なくとも、地元の様子が手に取るようにわかり、楽しく拝読させていただいています。これからも楽しみにしております。

匿名 さんのコメント...

タカじい。しっかりとプログ読んでいるよ。きっときっと三春ネギが収穫された時は、ご招待があると信じています。楽しみにしています。