2008年10月26日日曜日

還暦親睦会


15歳から20歳までの5年間、ないし4年間を一緒に学んだ仲間の還暦親睦会が夏井川渓谷(いわき市小川町)の旅館で開かれた。最初の担任の恩師も駆けつけた。呼びかけに応じた十数人が一夜、学生時代に戻って旧交を温め、イワナの骨酒=写真=などを楽しんだ。

すでに還暦を迎えた仲間がいる。これから迎える仲間もいる。同じ日、会社の仲間が還暦祝いをしてくれるので親睦会にはやむなく欠席、という仲間がいることも紹介された。いずれにしても、還暦なんてピンとこない――というのが、みんなの反応だった。

70歳を過ぎた恩師が60歳の教え子に向かって、当然ながら「あなたたちはまだまだ若い」と言って励ました。定年退職をして再雇用された、ノウハウを生かして独立した、全く違う分野に転身した、と生活環境は変わったものの、何もしないでいられるほど現実は甘くない。老け込むひまはないのだ。

私も独立して満1年。親睦会と「独立記念日」が一緒になった。組織を離れてみると、なぜだか学生時代のことが思い出されてならない。なにかやり残していないだろうか――。よく恩師の住まいに押しかけ、書棚からさまざまな本を借りては気に入った作品を書き移した。その一つが、ときどき頭をよぎる。

「生命は増大すると/ひとがぼくらにいうとき、それは/女たちの肉体がもっと大きく/なることではない、木々が/雲の上に/そびえはじめることではない、/ひとが花々の最も小さなものの中へ/旅行できることではない、/恋人たちが愛の床に幾日も/とどまっておれるということではない。/それはただ単に/単純に生きることが/むつかしくなるということだ。」(ウージェーヌ・ギュヴィック)

そう、やり残しているのは「単純に生きる」ことだ。よけいなことはしない。そんな戒めの詩を思い出した「同級会」でもあった。

0 件のコメント: