2017年11月15日水曜日

「いわきの図書館」展

 図書館から受けた恩恵は計り知れない。新聞記者時代、週に3回、1面下のコラムを担当したことがある。持ちネタなどすぐ尽きる。今ならインターネットで簡単に「キーワード検索」ができるが、1980~90年代は直接、本を手に取って確認するしかなかった。締め切り後の図書館通いがほぼ日課になった。今もその習慣が続く。
 新聞コラムを書いていたときもそうだが、私は「テーマ」ではなく「キーワード」を決めてブログを書く。そこからいろいろ妄想する。どこに着地するかはわからない。
 
 きょうの場合は「『いわきの図書館』展」だ。11月6日にラトブ5階のいわき市立総合図書館企画展示コーナーで「いわき総合図書館 開館10周年記念企画展『いわきの図書館』」が始まった=写真(企画展の資料)。それに触発された。
 
 始まりはいつも単純だ。飲み屋で仲間や知らない人と話しているうちに、これはと思った言葉(キーワード)に出合うことがある。割りばしの袋にそれをメモする。そうしないと、翌日には忘れている。現役のころは、キーワードを記した紙切れがシャツの胸ポケットに10~20枚は入っていた。使えずにすり切れてしまった紙切れがある。新聞記事ももちろん切り抜いておく。夕日や雨、風、鳥、花、キノコ、野菜などからも刺激を受ける。

 さて、総合図書館の前身はいわき市文化センターにあった中央図書館だ。図書館展の資料によると、平の図書館は昭和23(1948)年8月開館の「平市公民館図書部」が始まり。やがて“間借り図書館”から「いわき市立平図書館」に成長し、中央図書館を経て総合図書館になる。
 
 資料にはほかに、地区図書館や移動図書館の歴史、戦前のいわきの図書館、終戦1年後に開館した民間の「お城山の図書館『海外協会佑賢図書館』」を紹介している。総合型図書館構想が生まれた経緯、東日本大震災のときの様子にも触れた。佑賢図書館は知らなかった。
 
 自宅にいながらよく利用するのは、図書館のホームページだ。なかにいわきの新聞や地図、絵はがきなどを収めた「郷土資料のページ」がある。キーワード検索はできないが、新聞は年月日がわかれば一発で読める。これまでにずいぶん世話になった。大正の関東大震災・昭和の日中戦争といわき、といった切り口で調べ物をするのに有効だ。
 
 詩人の田村隆一は「<昨日>の新聞はすこしも面白くないが/三十年前の新聞なら読物になる」と書いた。30年どころか、100年前の新聞は立派な史料になる。誤字・脱字も含めて。
 
 カツオの刺し身、じゃんがら念仏踊り、市立図書館――。これは、私のなかの「いわき三大自慢」だ。ホームページの地域新聞をキーワードで検索できるようになると、自慢のレベルはさらに上がる。

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