2017年11月28日火曜日

小流れのごみ除去

 日曜日は、夏井川渓谷の隠居で土いじりをする。気分転換だけではない。野菜を収穫したときの充足感がたまらない。
 40歳になるころだが、人の話を聴いたり、資料を読んだりして記事を書く仕事に行き詰まりを感じていた。フワフワした傍観者でしかない自分。別の言葉でいえば、「存在の耐えられない軽さ」。これに支配されていた。
 
 そのころ、義父に頼んで隠居の管理人になり、庭で土いじりを始めた。ササダケが繁茂していた。それを掘り起こし、除去する。開墾と変わりがなかった。二本の足で大地と向き合っている、という実感が持てた。少しずつ「存在の耐えられない軽さ」が消えていった。

 そんなことを思い出させるひとコマ――。おととい(11月26日)午後、私が生ごみを埋め、三春ネギを収穫しているうちに、草むしりをしていたカミサンの姿が消えた。隠居に戻って一服しても帰って来ない。隠居の庭の下は東北電力の敷地になっている。小流れがある。それを手入れしているに違いない。行くと、そうだった=写真。

 小流れは幅が30センチ、深さが5センチほどだ。1年中涸れることがないが、落ち葉や枯れ枝に覆われていた。これではクレソンも消えてしまう。周りの地面も、水がしみてぐちゃぐちゃになっていた。

 震災前は、私がこれをやっていた。手入れすればするほどクレソンが繁茂した。石垣の下から直角に、道の下を通って川へと流れる。その直角の流れには今、ヨシが生えている。

 観光客は風景として自然を見るだけだが、そこで暮らしている住民は自然を利用し、自然に手を加えて山里の景観を維持してきた。昔、ドクダミとスギナを除去したように、小流れを侵食するヨシを刈り取らないと、クレソンは消滅する。今度、ヨシを除去して小流れに光が当たるようにしよう。

0 件のコメント: