2010年2月17日水曜日

バンクーバー冬季五輪


バンクーバー冬季五輪の楽しみ方を見つけた。日本の選手を応援するのは当然だが、もう一つ、ウインタースポーツの発祥地とも言うべき北欧の選手に注目する。選手の名前などは分からない。国名が表示されるたびに、選手の姿を目で追い、向こうの街や風景を思い浮かべる。それだけのこと。

ナショナリズムが高揚される場なのか、メディアは事前に日本選手のメダルへの期待をあおる。世界の強豪が競うハイレベルの大会だ。勝負は紙一重。スピードスケート男子500メートルでは銀メダルと銅メダルを取り、日本中がわいたが、期待した成績をあげられないとがっくりくる。割り引いて見るに限る。

が、それだけではつまらない。昨年秋に旅した北欧の選手たちはどうか。日本に北欧の視点を加えれば、少し幅のある見方ができるのではないか。そう思って注意していると、北欧勢がよく目につくようになった。

なかでも、気になるのがノルウェーの選手たちだ。「氷蝕地形のため、国民の4分の3は海岸から15キロメートル以内に住む」といわれるほど過酷な国土だ。海岸部(ベルゲン)でもすぐ山が迫る=写真。斜面とともに暮らしが形成されている、と言ってもいい。風土が強い足を生むのではないか。

北欧では、男性も女性も歩き方がさっそうとしている。足が長いうえに推進力がある。女性に負けまいと歩いたら、たちまち引き離された。ストックを持ったノルディックウオーキングも、クロスカントリースキーもこの歩き方に発する、質実剛健と言われる気質はそこから始まる、と思ったものだ。

少しは冬の五輪について勉強しようと、いわき総合図書館から『雪と氷のスポーツ百科』なる本を借りて読み始めた。ジャンプ競技でアナウンサーがよく「テレマーク」「テレマーク」といっていたが、それがノルウェー南部はオスロ近くのテレマーク地方を指す地名だと初めて知った。

ウインタースポーツと無縁だった人間には、書かれていることのいちいちが目新しい。狩猟の歩行補助手段だったスキーが「都市スポーツ」へと昇華するのは19世紀後半のことだという。スポーツとしては歴史が浅いのも驚きだった。にわか勉強もしないよりはした方がいいようだ。

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