2010年2月22日月曜日

市民講座


いわき地域学會の今年の市民講座が2月20日、いわき市文化センターでスタートした。地域学會会員を講師に月一回、11月まで10回開催される。第一回講座が開かれたのは、今から25年前の昭和60(1985)年3月。そのころは月二回だったが、あとで今の形に落ち着いた。回を重ねること今月で158回、超ロングラン講座ではある。

地域学會の創立時からの会員なので、第一回からの講座の歴史を知っている。今は第三土曜日の午後2時が開始時間。現役のころは勤務の関係もあってたまにしか受講できなかった。ときには講師の指名を受ける。私が話すのは「三春ネギのお話」や「北欧見聞録」のたぐいだから、学問からは程遠い。が、自分の考えを整理し、課題を知るにはいい機会だ。

158回目の講師は副代表幹事の夏井芳徳クンが務めた。ここ近年、ずっとトップバッターだ。〈「ぢゃんがら」「盆踊り」「念仏講」〉と題して、いわき地方に伝わる「じゃんがら念仏踊り」について解説した=写真

「ぢゃんがら」は現代仮名遣いにしたがえば「じゃんがら」だが、夏井クンは固有名詞として「ぢゃんがら」を用いる。これは歴史的仮名遣いでもある。私は現代表記にしたがう。長い間、それで仕事をしてきたことにもよる。

その「じゃんがら」だが、夏井クンの調査・研究からいろいろなことが分かってきた。単純化して言えば、「じゃんがら」は念仏踊りと盆踊りがミックスされたもので、「鉦と太鼓」の念仏踊りの部分は江戸時代初期に江戸から入って来た。「歌と手踊り」の盆踊りの部分は逆に、江戸時代の末期に東北北部から入って来た――。

そして、今でこそ「じゃんがら」は青年会が新盆家庭を回って踊るものと認識されているが、それは、かつては“つけたり”のようなものでしかなかった。「じゃんがら」の主役は青年ではなく、「念仏講」に属しているじいさんばあさんだった。月念仏だ、彼岸だ、虫供養だ、馬頭観音だ、雨乞いだと、なにかにつけて「じゃんがら」を踊ったものだという。

江戸初期の1656年陰暦7月15日午後6時ごろ、いわきで最初の「じゃんがら」が始まった――この、歴史小説を思わせるような夏井クンの推定には会場がわいた。「じゃんがら」のイメージがまた少し私の中で変わった。

地域学會の市民講座にはこうした知的刺激があふれている。市民による市民のための生涯学習講座、「知の交差点」だ。

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