2010年9月17日金曜日
「おだかの人物」
今年初めにこの欄で「暮鳥とお隣さん」を書いた。大正時代の一コマだ。平の弁護士・新田目善次郎一家の隣に、日本聖公会牧師にして詩人の山村暮鳥が引っ越してきた。結婚して長女が生まれた。その長女を祖父母に見せるため、暮鳥の妻が長女を連れて水戸へ出かけたあとのこと。新田目家でボヤ騒ぎが起きた。その顛末を暮鳥が書いている。
そのとき小さかった新田目家の娘たちが、やがて日本の左翼運動の中枢を担う男性たちと結婚し、数奇な運命をたどる。兄である長男の影響もあったろう。そんなことを、浜通り俳句協会の機関誌「浜通り」に再掲した。すると、新田目家の長男の息子だという人から電話がかかってきた。
私と同じいわき市内に住んでいる。旧市町村レベルでいえば隣町だ。近い。わが家を訪ねて来た。二度目には、『おだかの人物』という冊子=写真=を持って来てくれた。
新田目家の主・善次郎の妻は小高町から嫁いで来た。その甥に、やがて憲法学者になる鈴木安蔵がいた。その縁で新田目家の長女は小高出身の平田良衛と結婚する。二女、三女も、彼らと同じ学生運動仲間と結婚する。
『おだかの人物』では、10人の代表的な人物を紹介している。平田良衛、鈴木安蔵、安蔵の父と交流のあった俳人大曲駒村、同じく俳人の豊田君仙子、ほかに作家の埴谷雄高、島尾敏雄など。
新田目家の人々を知れば知るほど、小高という土地柄、そこに生まれ育った人物に興味がわいてくる。小高とつながる人物である埴谷雄高、島尾敏雄にも。
埴谷雄高は台湾の新竹で生まれた。あしたから3泊4日の予定でそちらの空気を吸って来る。同級生と行く「修学旅行」だ。というわけで、21日までこの欄をお休みといたします。あしからず。
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