2010年9月2日木曜日

残り物


夏井川渓谷の無量庵で毎年、夏合宿をするグループがある。長男の学生時代のサークル仲間だ。合宿といっても、いわきの海が気に入ったために連絡を取り合って海水浴に来る、そのための宿泊所だ。社会人になっても続いている。15年以上になるだろうか。今年も8月中旬にやって来た。

来庵の記録のために芳名簿を置いてある。若者たちは毎年、そこになにかひとこと書き込む。五七五七七にこだわる1人は「夏休み 仕事終わりで 福島へ 疲れを忘れ 今日もまた飲む」(2008年)。今年は「ゆっくりと する為今年も 福島へ 名残おしくて 今日もまた飲む」。「今日もまた飲む」がキーワードの“狂歌”だろう。

合宿が終わったあと、「バーボンがあるから飲んでいいよ」と言われた。無量庵に泊まった晩、冷蔵庫を開けてボトルを取り出した。残量は5分の1ほどしかなかった。〈何が「飲んでいいよ」だ〉。ま、一晩の独酌の量か。

平地のスーパーでメバチマグロの切り落としと、ネギトロ用の粗引きマグロを買った。粗引きには畑から採って来た三春ネギをみじんにしてあえた。それらを盆にそろえて晩酌を始めた=写真。ヤカンにはこれまた冷蔵庫にあった残り物の氷を入れて水を冷やした。バーボンを生で飲み、冷えた水をチェイサー(追い水)にして胃袋で水割りにする。

山小屋同然の無量庵では、残り物も貴重な飲食材だ。

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