きのう(9月9日)の早朝、半月ぶりに夏井川渓谷の無量庵へ出かけた。無量庵通いの回数が減って、庭や畑の草刈りに難儀している――きのうのブログにそう書いた。実際、庭は草ぼうぼうだ。下の空き地へ降りていく階段も、クズやアサガオなどのつる性植物に覆われている=写真。
庭の草も、下の空き地の草も梅雨期に造園業の知人に頼んで刈ってもらった。季節が一つ巡っただけで、再び草があたりを覆っている。太ももが隠れるくらいに丈高く生長した草もある。
庭の一部、草むらをクズが覆い始めた。早朝の涼しいうちにこのつる性植物を切断し、丈の高い草を刈り払った。
クズは下の空き地から這い上がり、庭をほふくして、テーブルを、濡れ縁を覆う勢いだ。放置しておけば雨戸を這い上がり、屋根を越えて家全体を覆いかねない。山里を車で走っているときに、廃屋がクズの葉で覆われているのをたまに目撃する。放置しておけばそうなる。
きのうのブログでは、双葉郡の家々にも思いがめぐることを書いた。富岡町からいわき市に避難しているおばあさんが一時帰宅した。カミサンがその話を聴いた。庭の草は2階に届くほど伸びていた。草に邪魔されて車を庭に入れられなかった。無量庵の庭の様子をひどくしたようなイメージが広がる。
一時帰宅は3・11後、初めてだったという。家の戸を開けたら、すえて湿ったにおいがした。なにしろ、台所も、茶の間も3・11のときのままだ。
震災で停電になった。子や孫たちと一夜を過ごした。石油ストーブを持ち寄り、鍋でご飯を炊いた。翌日、原発が危うくなったため、鍋を持って広野町へ、いわき市へ、さらに東京へと避難した。今は借り上げ住宅に住む。夫はそこで亡くなった。
「庭の草を刈る人もいたけど、そんなことしたってなんにもなんね」。ここからは私の想像。このままでは、家がダメになる。湿ったまま、空気がよどんだままでは、家が朽ちていくだけ。おばあさんならずとも無念の思いが募る。
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