いわき市海岸保全を考える会が昨年秋、『HOPE2』=写真=を発行した。東日本大震災と原発事故に遭遇したいわき市民や双葉郡の人々、ボランティアなどの証言集だ。130人が「一人称」で体験を語っている。かつて同じ職場にいた若い仲間が中心になって取材・編集した。
若い仲間はサーファーでもある。津波被災者に本の売り上げの一部を義援金として贈りたい――。サーファー仲間と諮って写真集『HOPE』を発行し、次いで証言集『HOPE2』を出した。
その証言集から何十人かをセレクトして英訳するプランが練られている。
東洋大学国際地域学科の子島(ねじま)進准教授と、昨年暮れ、いわき市で被災者の支援活動を展開している「シャプラニール=市民による海外協力の会」を介して知り合った。
今年6月上旬、子島さんがゼミの3年生6人を連れていわきへ調査に来た(6月3日、同6日付小欄参照)。道案内を引き受けた。そのとき、彼らは豊間の人間(大工)のところで『HOPE2』に出合った。
東日本大震災と原発事故の現実を、インターネットを介して世界に発信しなくては――。いわきの被災地に立って学生が英語でレポートする、仲間がそれを撮影する。そのための現地調査だった。その発展形として、学生による『HOPE2』の英訳プランが浮上した。
おととい(9月4日)、子島さんがいわきへやって来た。初対面の若い仲間との打ち合わせに立ち会うかたちで加わった。大筋で話は決まった。『HOPE2』に収まった人は、活字になることは了解しても、ネットに英語で登場することは「想定外」だ。その了解をとらないといけない。若い仲間たちには次につながる希望の作業になるだろう。
被災地の現実を知ってほしい――。3・11から1年半がたとうとしている今、国内から海外へ、そのために英語で発信を、という思いが被災地側にも、支援者側にも強くなりつつある。風化と忘却への危機感がそうさせるのだ。時間はかかるだろうが、学生の奮闘に期待したい。
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