自宅が津波被害に遭い、今は内陸の借り上げ住宅で暮らす知人から、辛み大根の種が届いた=写真。借り上げ住宅の近所にある空き地を借りて“百姓生活”をしているという。種は一昨年、会津の人からもらったものだ。こぶ状のさやの内部は天然の発砲スチロールのようになっており、そのなかに直径1ミリ余の“赤玉”が眠っている。
知人は一時、ご主人と横浜の息子さん(次男)のところに避難していた。そこで、私のブログを読むようになった。こちらが連絡したせいもある。その息子さんが今はタイにいる。ブログのアクセス解析をすると、なぜかタイが上位にくるようになった。知人の手紙で理由がわかった。知人もまたタイ経由でブログの中身を把握しているのだとか。
知人もそうだが、私も暮らしのなかに趣味としての農の営みを組み込んでいる。偉そうに言えば、「存在の耐えられない軽さ」に抗って土と向き合ってきた。
そこに天変地異、加えて原発事故が起きた。すると、素人ながら土と向き合うことに葛藤が生まれた。葛藤を深めた末の、家庭菜園再開だったのだろう。「メソメソしてなんかいられません」。私はまだその葛藤にゆれたままだ。恐らくそれを知って、種が届いたのだ。
私は夏井川渓谷の無量庵で三春ネギを栽培している。一種の地ネギだ。辛み大根も地大根だ。その種をみて、むっくりやる気が起きた。小川産自家消費用野菜(キュウリ、ジャガイモ、大根、ナス、ピーマン、タマネギ、ニンニク、ネギなど)からセシウムが検出されなかったことも背中を押した。
半分以上草に覆われた小さな菜園に草引きと耕起を兼ねてクワを入れ、辛み大根用の小さなうねをつくった。9月下旬だが、大根だからぎりぎり発芽には間に合うだろう。
三春ネギ以外の野菜の栽培はやめるか、続けるか。逡巡していたときに、会津の辛み大根の種が届き、よしニューディール(新規まき直し)だと、元気が出た。
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