いわき地域学會は年に2回、巡検を開催する。先週土曜日(9月29日)に52回目の巡検を実施した。30人余が参加した。今回のテーマは「いわき市内の東日本大震災被害地を訪ねて」。参加者自身、被災者には違いないが、被害を受けた地域を自分の目で再確認し、震災がもたらした影響と今後の復興のあり方を考えよう――というのが趣旨だ。
いわき市は3・11だけでなく、1カ月後の4・11にも強烈な直下型地震に見舞われた。
3・11ではハマが津波によって甚大な被害を受けた。4・11ではいわきの南部の山間地で大規模な土砂崩れが発生した。まずはそのヤマの防災工事現場=写真=をバスから見た。
そこは浜通り南部と中通りを結ぶ「御斉所街道」(県道いわき石川線)。4・11の夕方に井戸沢断層と湯ノ岳断層が動き、震度6弱の地震に見舞われた。街道の至る所で山が崩れ、うち2カ所で家にいた3人と、車で通行中の1人の計4人が亡くなった。
東日本大震災から1年余がたった今年7月1日付で、いわきの死者は行方不明、関連死を含めて430人になった。当然、このなかにヤマの死者4人も含まれているだろう。
最初に田人公民館を訪ねた。ロビーに4・11の発生・被害状況を示すコーナーがある。断層がどう走っているのか、どんな状況で動いたのかを頭に入れた。
1年半余がたった今は、最大2メートルに及ぶ道路の段差や田んぼを貫く亀裂は、復旧工事などの結果、それとはわからなくなった。が、御斉所街道の土砂崩れ現場では、工事が進められているとはいえ、その崩落の規模の大きさに息をのんだ。そのあと、ヤマを下りて、いわきのハマ(久之浜・四倉・薄磯)を巡った。
いわきは小豆島をのぞいた香川県ほどの広さがある。ヤマ(山間部)がおよそ7割を占める。残りがマチ(平地)、そしてハマ(沿岸部)だ。広域都市のためにマチの人間には震災の全体像がなかなかつかめない。そのもどかしさを埋めるいい機会になった。
0 件のコメント:
コメントを投稿