東京・芝の増上寺といえば、江戸時代前期、いわき出身の名僧祐天上人が住職を務めた寺だ。徳川将軍家の菩提(ぼだい)寺でもある。その増上寺で10月27、28日、創立40周年を記念するシャプラニールのフエスティバルが開かれた。寺の写真を撮るにはいい機会だ。日曜日(28日)に夫婦で出かけた。
フエスティバル会場は大殿(本堂)の地下にある三縁ホール。そこへもぐりこむ前に撮影したい建物があった。安国殿=写真=だ。私は撮影、カミサンは中の受付で孫のために「お守り」を買った。
祐天上人ゆかりの名刹ではあるが、私にはプラス、いわきの專称寺で修行した江戸時代後期の坊さん、そしてやがて俳諧宗匠になる一具庵一具(1781~1853年)が拝観して句を詠んだところ、という思いがある。
「蝋月(12月)17日、安国殿拝瞻(はいせん)。風邪を引きければ、」と前書きをして<湯をひかぬ身にこたへけり雪の梅>と詠んだ。「湯をひかぬ身」とは坊さんだから、沐浴しても風呂には入らない、ということだろう。旧暦12月は今の1月中旬~2月初旬あたり。江戸(東京)ではその時期、梅が開花する。春の雪も降る。
一具俳句を理解するために、前書きをヒントにして足跡を訪ねる、ということをしているが、ここ十数年は中断したまま。そこへ、いわきで震災・原発事故の支援活動をしているシャプラニールがフエスティバルを開くという連絡がきた。行く以上は安国殿(当時の建物ではないとしても)を必ず撮る、と決めたのだった。
「スーパーひたち」で上野駅に着いたあと、同じJRで浜松町駅まで行った。北口から増上寺に向かう途中に世界貿易センタービルがあった。20歳前後に、建設中のこのビルでアルバイトをしたことがある。それと、東京タワー。シャプラのフエスティバルの前に、ちょっぴり懐かしさにひたった。
0 件のコメント:
コメントを投稿