朝、夏井川の堤防を散歩する。何度も書いていることだが、“定線観測”をしていると“変化”がわかる。対岸、平山崎の名刹・專称寺の本堂がパイプで囲われた=写真。解体作業のための足場が組まれたのだ。遠目には屋根の解体が始まったかと思われた。デジカメで撮影し、拡大したら、屋根の足場だった。
專称寺は東日本大震災で大きな被害を受けた。本堂は「危険」、庫裡は「要注意」、ふもとの総門もダメージを受けた。いずれも国の重要文化財に指定されている。
今年の初夏、保存・改修のための事業が目に見えるかたちで始まった。保存・改修するためには一度解体しないといけない。まずは重機を入れるための参道拡幅工事が行われた。季節が一つ巡った今は、すでに総門の解体が終わり、本堂の解体に移りつつあるところらしい。
庫裡はどうするのか、そこまで保存・改修をしないと意味がない。やるとすれば当然、かなりの年数がかかる。復旧・復興といっても、すぐできるもの、少し時間がかかるもの、何年かかかるものと、いろいろだ。
專称寺は、私にとっては近世俳諧をひもとくうえで欠かせない場所だ。この寺へ修行に来た学生の一人が、江戸時代後期、ひとかどの俳諧宗匠になる。総門・本堂はおろか、庫裡の保存・改修がなされてこそ、そこで学んだ人間の自己形成期を探ることもできる。そんな勝手な思いをいだきながら、本堂の変貌を対岸から見続けることにする。
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