いわき市平字堂根町のギャラリー界隈で10月6日、いわき市出身の阿部幸洋新作絵画展が始まった=写真。15日まで。
23歳の駆け出し記者が、3歳年下の駆け出し画家の個展を取材した。以来、阿部とは40年余のつきあいになる。阿部は、わが子にとっては小さいころ、最も身近な“叔父さん”だった。
阿部は、結婚と同時にスペインへ渡った。1980年のことだ。奥さん(すみえちゃん)に支えられて制作に没頭した。その人生のパートナーが3年前の9月30日、急逝した。
妻亡きあとの暮らし、仕事について、彼は多くを語らない。が、1人でなにもかもしなくてはならなくなった。それで、絵は変わったか。たぶん、変わっていない。変わったとしたらむしろ、3・11を経験したこちら側だ。
ラ・マンチャ地方の風景(建物・平原)を描いている。すみえちゃんが存命のころからのシリーズと言っていいだろう。作品のタイトルは時候に関するものが多い。午後の陽・春風・暮れどき・春めく日・春・春の午後・夕暮れ近く・秋の日・西風・西の空……。「朝」の1点をのぞいて夕暮れを描いたという。
3年前の個展でも感じたことだが、建物の背後、平原にかかる雲が灰色がかっていて、大気が湿り気を帯びている。それで見る側の心が潤ってくる、なんてことを思った。こちらが3・11以来、ラ・マンチャ(乾いた大地)になっているからだろう。
10月20日からは東京・銀座のギャラリーヤマトで「阿部幸洋展 版のしごとvol.2」が開かれる。最終日の27日にもしかしたら東京へ行くかもしれない。そのとき、時間があれば寄ってみよう。
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