2013年7月16日火曜日

ホーム案内

早朝のいわき駅1番線ホーム。特急「スーパーひたち」のドアが開くまで、あたりをブラブラしていたら、階段手前に架かるホーム案内が一部黒くなっているのに気づいた=写真。“張り紙”のようだが、内側の電光が強くて下の字まで透けて見える。上の字と下の字がダブっているので、なんて書いてあるかよくわからない。近づいて確かめると――。

4・3番線ホームは常磐線、6・5番線は磐越東線と常磐線である。常磐線のうち、下りは「原ノ町・仙台方面」の表示がなされていたのが、いわき駅からたった23キロ北の「広野方面」に変わった。同じく磐越東線も、「小野新町・郡山方面」の上に「郡山・仙台方面」の“紙”が張られた。

いわき~仙台駅間はざっと150キロ。常磐線は主に太平洋沿岸部を走るため、東日本大震災では津波で壊滅的な被害を受けたところもある。そのうえ、沿線の双葉郡では福島第一原発で過酷事故が起きた。事故の収束作業が今も行われている。原発の南側ではそれで広野駅までしか復旧していない。

2012年のお題は「岸」だった。歌会始で披露された元福島高専校長寺門龍一さんの作品「いわきより北へと向かふ日を待ちて常磐線は海岸を行く」を思い出す。寺門さんは茨城県に住む。常磐線を利用して自宅と校長官舎の間を行き来した経験がある。常磐線の全面復旧に被災地の復興を重ね合わせた。

ホーム案内の表示変更から、あらためて常磐線の厳しい現実に思いが至る。一部では内陸移転の計画があるようだが、それらを含めて全面復旧にはどのくらいの年数がかかるのだろう。しかし、生きているうちに「スーパーひたち」に乗って仙台の朋友のもとへ――そのくらいの夢はもつことにしよう。

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