2013年7月27日土曜日

じゅうねんよごし

阿武隈高地ではエゴマを「じゅうねん」と呼ぶ。小さいときから「ごまよごし」だけでなく、「じゅうねんよごし」を食べてきた。ゴマはゴマ科、エゴマはシソ科。種から油をとったり、炒ってすりつぶして「よごし」にしたりすることは同じでも、植物としての姿かたちはまるでちがう。

いわき市暮らしの伝承郷が「いわきの昔野菜展」のために、園内の畑で「小白井(おじろい)きゅうり」などいわきの伝統野菜を栽培している。そのなかに「白じゅうねん」と「黒じゅうねん」がある=写真。シソ科だけあって葉は青ジソにそっくりだ。花もシソと同様、穂状に咲くのだろう。

「ごまよごし」も、「じゅうねんよごし」もおふくろの味だ。が、親は“自産自消”の畑でゴマを、あるいはエゴマを栽培していただろうか。種採りを手伝わされた記憶がないから、ゴマとエゴマは買うか、もらうかしていたにちがいない。

植物としてのエゴマを見たのは初めてだった。畑と「じゅうねんよごし」の間にある台所、商店、農家への想像力がまったく欠けていた。見たこともないものには想像力がはたらかない。想像力がはたらかなければ思考もふくらまない。「じゅうねんよごし」の、ただの消費者だった。そのことを思い知る。

そこからの自戒。阿武隈の山と里は原発事故に泣かされた。今も泣かされている。農家・林家の存在を否定するようなことばだけはつつしまないと。

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