間もなく夏至。夜明けの4時ともなると、もう空は明るい。青空が戻った水曜日(6月17日)の夜明け、起きぬけに夏井川渓谷の隠居へ出かけた。
隠居の屋根にかかる庭木の剪定・伐採を地元の住人(造園業)に頼んだ。2~3日かかるというので、2日目が始まる前に様子を見ることにした。
既に剪定・伐採された木は庭のヘリに寄せられていた。まるで生け垣のように整然としている。美しい。美しいと感じる仕事を久しぶりに見た。職人としての美意識だろうか。
それについてはいずれ触れるとして、きょうは隠居までの道行きで出合った「夜明けの動物たち」を紹介したい。
いつもは日曜日の朝9時前後、神谷~平窪~小川の耕土を過ぎて渓谷に入る。今回は、4時半ごろに家を出た。隠居へは5時過ぎに着いた。
同じルートなのに、車窓に広がる景色が違って見えた。鳥たちは夜明けとともに眠りからさめるのだろう。水を張った青田にシラサギやアオサギがいる。これは日中と変わらない。
平窪の田んぼのあぜ道に「工事」と「通行止め」の看板が立っている。それぞれの上のはしっこにカラスが止まって、体を激しく上下させながら鳴いていた。
カラスの体操? 合唱? 朝のあいさつ? なんだ、シンクロしたこの動きは! カミサンと2人、びっくりして大笑いした。
小川の三島を過ぎ(夏井川に残留コハクチョウの「エリー」がいる)、磐越東線をまたぐ跨線橋にさしかかると、前方の対向車線にカラスが止まっている。
と見たのは錯覚で、すぐキジの雄だとわかる。雄は車が近づくと右側の土手に消えた。
そのあとをもう1羽がゆっくり追っていく。キジの雌だ=写真。夜明けの5時前、行き交う車はない。車を止めてパチリとやった。
キジのつがいはどうやら、左側の河川敷の方から跨線橋に現れ、右側の田んぼの方へえさを探しに向かったらしい。右奥には二ツ箭山が鎮座している。
平地から渓谷へ――。磐東線の上小川トンネルと磐城高崎踏切が接続する先に渓谷へ入る坂が待っている。「地獄坂」という。
左にカーブしながら傾斜がきつくなる辺りで、いきなり前方に小動物が現れた。2匹いる。しっぽが長い。車から逃げるように坂を駆け上がりながら、やがて左の杉林に消えた。リスだった。
リスを久しぶりに見た――。そんな感慨にひたりながら江田駅を過ぎて椚平に入ると、またリスが車の前を横切った。
危ない! 私は、スピードは出さない。エンジンをふかして渓谷を駆け抜ける車だと、このリスは避けきれなかったろう。
リスに限らない。タヌキもまたこんな時間帯に、不運にもスピードの出ている車と遭遇して輪禍に合う確率が高いのではないか。夜間だけでなく、夜明けもまた要注意。5時前のドライブでそれを実感した。
路上の「死物」にはできるだけ出合いたくない。同時に、大きな生きた動物にも。さいわいクマらしい生き物は見なかった。
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