いわき市立草野心平記念文学館に行くと、アトリウムロビーにあるスタンドラックから、ほかの文学館のパンフを何点か持ち帰る。
6月23日も会議があったついでに森鴎外、松本清張、吉村昭などの文学館の「ニュース」を手に入れた。
家に帰ってパラパラやっていたら、「吉村昭記念文学館ニュース『万年筆の旅』」第26報に、草野心平記念文学館のスタッフが文章を寄せていた。
今は別の施設に異動した旧知の学芸員で、タイトルには「吉村昭ゆかりの地より資料紹介~いわき市立草野心平記念文学館~『彰義隊』執筆における郷土史家との交流」とあった=写真。
去年(2025年)の夏、草野心平記念文学館で企画展「吉村昭と磐城平城」が開かれた。
吉村昭(1927~2006年)は平成16(2004)年10月16日から翌年8月15日まで、朝日新聞に戊辰戦争を題材にした小説『彰義隊』を連載した。
『彰義隊』の主人公は幕府側の彰義隊が担いだ輪王寺宮で、江戸を離れて奥羽列藩同盟の磐城平藩領に入り、さらに北上した様子が描かれる。
企画展はこの小説と、最近の磐城平城の発掘調査を組み合わせたものだった。『万年筆の旅』では、吉村昭を案内し、資料を提供した歴史研究家の小野一雄さん(小名浜)を主に紹介している。
それによると、作家は取材のために2回いわきを訪れている。初回は平成14(2002)年9月で、地元の古書店や磐城平城跡を訪ねた(古書店は平読書クラブだろう。当時、店主はまだ健在だった)。2回目は翌年の7月。磐城平城下での輪王寺宮一行の道筋をたどった。
小野さん提供の資料には、輪王寺宮が通過した村々や護衛の様子、磐城平城の前々藩主安藤信正の拝謁や献上品などの記録があり、これらは小説に反映されているそうだ。
新聞連載中も吉村昭から小野さんに照会があった。小野さんが連載中に指摘した個所は、単行本刊行時には修正されていたという。
このエピソードには「ほほー」となり、「さすが」とうなった。史実を極める作家の本分を見た思いがする。
そういえば――。平成31年(2019年)の地域学會の総会で、相談役の小野さんに記念講演(演題は「『古文書が語る磐城の戊辰史』を語る」)をお願いした。
小野さんはいわき歴史文化研究会の代表でもある。戊辰戦争150年の節目の同30年、同会と磐城平藩の藩士の子孫の集まりである平安会と協働で、『古文書が語る磐城の戊辰史』を刊行した。
この本には「安藤信正書状 上坂助太夫宛」や、江戸から船で北上、平潟に上陸した輪王寺宮に会津まで随行した泉藩御用医師滝川濟の「戊辰日乗」など17点の史料が載っている。
きのう(6月24日)、ある会議で小野さんと一緒になった。『万年筆の旅』の話をしたら、掲載前、吉村昭記念文学館から連絡があったそうだ。とりあえず『彰義隊』を再読しよう。
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