2010年9月16日木曜日

主はだれか


夏井川渓谷の無量庵にいると、いつも複雑な鳥の鳴き声を耳にする。ウグイスのさえずりなどもまねる。中国原産の籠抜け鳥、ガビチョウだ。すみついて久しい。繁殖もしているのではないか。

先日、無量庵へ出かけ、菜園でナスを摘んだり、伏せ込んだ三春ネギに土をかけたりしていたら、すぐそばでさえずりを始めた。ガビチョウはヤブを好む鳥。めったに姿を見せない。いや、臆病だから人間の姿を見るとすぐ姿を消す、そう思い込んでいた。

ところが、どうだ。うるさいくらいにさえずっていただけではない。たまたまプルーンの木になった実(数個)をチェックしようとしたら、その木にガビチョウが3羽やってきた。1羽は目の周りの白紋が薄い。幼鳥だろう。人間との距離は3メートルほど。3羽ともこちらを気にする様子はない。

あわててカメラを取りに車まで戻った。プルーンの木からは姿を消していたが、さえずったり、休んだりする木が決まっているらしい。カメラを首にぶらさげて庭にいると、別のプルーンの木にやって来た。至近距離で初めてガビチョウを撮影できた=写真

無量庵の主はいちおう人間だ。が、ここまで堂々と振る舞われると、なんだか立場が逆転したような錯覚に襲われる。無量庵の主はおまえ、ガビチョウか――。無量庵に留まる時間が減ったのと合わせて、庭の草が生え、ヤブのような様相を呈していることが、ガビチョウに安心感を与えているのだろう。

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