2015年5月24日日曜日

なんの葉痕?

 きのう(5月23日)はいわき湯本温泉泊まり。珍しく二日酔いにならずに帰ってきました。
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 夏井川渓谷の隠居の庭にシダレザクラが2本ある。植えてから15年余りたつ。結構な高さになった。幹も太い。その根元にカレハガの幼虫がいた。樹皮に溶け込んだような灰色をしている。体長は10センチ弱。大きな幼虫だ。頭部近くの背面に、なにかの木の葉痕ではないかと思わせるような文様がある=写真。
 
 冬の渓谷の楽しみは落葉した木々の枝の断面を観察すること。たとえば、オニグルミ。枝の尖端に頂芽をいただく「兜をかぶったミツユビナマケモノ」の下に、「モヒカン刈りの面長レスラー」がいる、あるいは左右に伸びる枝のすぐ上に「目覚めたばかりのヒツジ」がいる。ひとつひとつ葉痕の表情が違うのだ。

 フジは「困って眉を寄せた肥満顔」、アジサイは「長い頭巾をかぶった三角顔」、サンショウは「十字架を背負った殉教者」。クズはたぶんだれもが「パンダの顔」を連想する。断面の維管束痕の位置から哺乳類の目・鼻・口などを連想させる。隠居の周りの木々にはいろんな文様の葉痕がある。

 カレハガ幼虫の背中の“葉痕”はしかし、どの木の葉痕とも似ていない。が、葉痕と思わせる文様にはちがいない。なぜ、こうした類似が起きるのか。偶然なのか、なにか相互に影響し合う仕掛けが自然界にはあるのか。

 つぶさに見れば見るほど、自然は不思議に満ちている。レイチェル・カーソンのいう「センス・オブ・ワンダー」(不思議さに目を見張る感性)に包まれる。
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 これからその夏井川渓谷へ向かいます。きょうはどんな「ワンダー」が待っていることやら。

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