朝5時半に目をさました。多少頭は重い。二日酔いというよりは寝不足だろう。温泉旅館の5階の部屋から目覚めつつある坂の街を眺めた=写真。
犬を連れた人、速歩の人、新聞配達の少年が現れる。旅館の裏口にごみ収集車が到着する。6時台後半にはネクタイに背広姿の男性、スーツ姿の女性が街の方へ下りてくる――日曜日(5月24日)早朝のいわき湯本温泉街。目覚まし時計の代わりに、かごぬけ鳥のガビチョウが騒々しく鳴きだした。
年に一回、“海外修学旅行”をする平高専(現福島高専)3期生の仲間が、機械工学(M)、工業化学(C)の両科合わせて7~8人いる。電気工学科(E)の同期生とはなぜか交流がない。C3主体の旅行会が5月23~24日、いわきで行われた。M3の人間も含めて12人が参加した。
先輩から後輩までの有志が参加する、同窓会とは別の縦の集まりがある。その新年会が今年1月、同じ旅館を会場に開かれた。“海外修学旅行”組はあらかた参加した。
旅行会では初日、いわき駅(旧平駅)裏・物見が岡の磐城平城本丸跡地を見学し、母校~白水阿弥陀堂(内郷)~市石炭・化石館(常磐)を訪ねたあと、温泉旅館で懇親会に臨んだ。翌日は、内郷の喫茶店「純」=平高専が開校したころは平駅前の三田小路にあった=でモーニングコーヒーを飲んだあと、希望者が小名浜などの沿岸部を巡った。
私は夜の懇親会に参加し、モーニングコーヒーを飲んで別れた。12人のうち5人とは数年ぶり、あるいは十数年ぶりの再会だった。今はいわき組を除いて首都圏に住むが、もともとのふるさと(当時の自治体)は福島市、郡山市、三春町、常葉町、平田村、楢葉町、四倉町、平市、内郷市、勿来市、茨城県十王町とさまざまだ。
懇親会では、自然発生的に「近況報告」が行われた。囲碁・短歌・陶芸・家庭菜園を楽しみながら自治会の役員をしている者、会社役員を続けながらマラソンに挑戦している者、野菜その他の放射性物質を検査する仕事に就いている元行政マン、バードウオッチングにハマっている者……。それぞれが忙しく、あるいはゆうゆうと過ごしている。
<団塊の世代>は今や、「会社」への貢献から「社会」(コミュニティ)への貢献、つまりボランティア活動に時間を割く人生の仕上げの時期を迎えた。それを実践している仲間がいる。実践する仲間も増えるだろう――そんな感想を抱かせる、気持ちのいい「近況報告」だった。
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