2015年5月20日水曜日

やっとオオヨシキリが

 例年は5月の声を聞くと、夏井川のヨシ原(今はまだ枯れヨシの合間に若いヨシが伸び出したばかり)にオオヨシキリのさえずりが響く。
 朝晩、堤防の上を散歩していたときには、飛来日がはっきりわかった。大型連休の終わりごろ――それが、南から平中神谷地内の夏井川にオオヨシキリの雄が到着し、さえずりだす日だった。
 
 2012年暮れに体調を崩し、散歩の自粛を言い渡されてから、堤防を歩くのをやめた。代わりに、用事があってもなくても、車で行き来する回数を増やした。その意味ではこの3年、夏井川に現れる鳥たちの初見や初鳴の記録は、「私にとっての初見や初鳴」でしかない。

 5月10日の日曜日。内陸部の平中平窪地内の水田地帯を車で通っていたとき、ヨシ原に替わった休耕田でオオヨシキリの鳴き声を聞いた。「あれ、こんなところで?」。飛来しても不思議ではないが、小さなスポットだ。雌は来るのか、巣はできるのか――「どんなに頑張っても、もてない男はいるからなぁ」なんては思わなかったが、それに近い感情を抱いた。
 
 それから6日後の土曜日(16日)。いつものように車で堤防の上を通っていると、ヨシ原とその近辺で何羽もオオヨシキリがさえずっていた=写真。飛来が遅れた分、一気にやって来た。そんな感じだ。
 
 雄のキジがあちこちで鳴き、ときに河川敷に姿を見せる。ウグイスがさえずり、ツバメが上空を飛び交っている。カルガモも中州で昼寝をしている。それらに、オオヨシキリのけたたましい鳴き声が加わった。
 
 そうだ、この30年で何が変わったかというと、散歩コースにしていたエリアからカッコウの朗らかな歌が消えたことだ。もう一度、夏井川の堤防で「カッコー、カッコ―」を聞きたい。いや、孫に聞かせたい。
 
 カッコウはオオヨシキリやホオジロ、モズ、オナガなどの巣に托卵する。それらの鳥はいるのに、カッコウだけが沈黙を続けている。郡山、会津若松、仙台、札幌などの「市の鳥」はカッコウ。北へ行くほどカッコウは市民に親しくなる。夏を過ごすには、いわきの平地は暑すぎるようになった、ということか。

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