2015年5月29日金曜日

「ふんぎり」のとき

 わが家にときどき古着が届く。持ってくるのは主に近所の人だが、誰かわからないときもある。知り合いの老人介護施設へおむつ用に届けたり、「ザ・ピープル」のリサイクルに回したりする。
 連絡があれば取りに行く。車を運転するのは、私。先日はいわき市北部の個人の簡易倉庫=写真=まで取りに行った。フィットだからいくらも積めない。

 3・11のとき、津波に襲われた。火災に見舞われた地区からは離れていて、被害は軽微ですんだ。でも、防災緑地の建設エリアにある。建物を取り壊さないといけない。カミサンの知人の店で靴と衣類を売っていた。衣類だけでも出るわ出るわ、となるのは当然だ。

 簡易倉庫の隣にお寺がある。というより、寺の境内の一部を市が借り上げ、簡易倉庫を建てた。

 また連絡がきた。忙しくしている私を見て、カミサンが、母親の実家がそのお寺だという近所の若い奥さんに声をかけた。おととい(5月27日)、きのうと車を出してくれた。帰りはお寺に寄ってお茶を飲んできたそうだ。お寺も天井近くまで浸水した。

 お寺の奥さんの旧姓とカミサンの旧姓が同じだった。7代さかのぼれば誰でも親戚になるが、今は、つながりはない。カミサンの実家と同じ宗派のお寺でもあるので、だいぶ話がはずんだらしい。

 3・11から5年目、「ふんぎり」のときがきた。「ダンシャリ」というには大きすぎる整理だ。さほど生活が破壊されなかった内陸部の人間と違って、沿岸部の人たちは今、新たな一歩を踏み出そうとしている。すでに踏み出した人もいる。自然災害だけであれば、もっと早くにそうなっていたのだろう。

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