2017年11月10日金曜日

キノコ図鑑に誤記載、とか

 おととい(11月8日)のツチグリに続いて、またまたキノコの話で恐縮ですが――。
 夏井川渓谷の隠居の庭にキノコのなる木がある。樹種がわからない。半分立ち枯れているはずだ。生えるキノコはヒラタケ=写真=とアラゲキクラゲ。ヒラタケの傘の裏はきれいで、“虫こぶ”はなかった。

 9年前、いわきのヒラタケに「白こぶ病」がはやった。ウスヒラタケにも発生した。栽培ヒラタケもやられた。見た目が悪いから商品にはならない。

 キノコバエの一種・ナミトモナガキノコバエに運ばれて来た線虫がヒラタケのひだに付着する。すると、ヒラタケは虫こぶ(白こぶ)を形成し、毒素を出して、線虫を動けなくして食べてしまう――ということだった。九州・中国と西日本で発生していたのが、東進・北上した。
 
 キノコは成熟すると、胞子を空気中に飛ばす。街の公園に、住宅の庭に、木に、いつの間にかキノコが生えるのは、胞子が飛んで来て活着したからだろう。
 
 キノコの胞子は空を行き交う旅人。南からの台風が、西からの季節風が、東風が、北風が、海を、森を越えて胞子を運ぶ。今も目の前の空間に胞子が漂っている――そんなイメージを抱くのは、“キノコ病”にかかっているからだ。実際、スエヒロタケの胞子は鼻や気管支、肺などに入り込んでゼーゼーやたん・せきなどを引き起こす。呼吸器系の弱い人がやられやすいそうだ。
 
 小学館が発行したキノコ図鑑(『小学館のNEO きのこ』)に、食毒に関する致命的な間違いがあった。毒キノコのヒョウモンクロシメジを、監修者の指摘を受けながら担当編集者が見落とし、「食用」の誤記のまま印刷してしまった、とか。
 
 手元のキノコ図鑑に当たったが、ヒョウモンクロシメジはない。ネットで検索した。秋にブナ科の広葉樹林に発生する、少量でも嘔吐や下痢などの症状を引き起こす、ヨーロッパやアメリカでは有名な毒キノコ、とあった。日本では最近(1997年)発表されたばかりらしい。古い図鑑にないのは当然か。
 
 キノコは神出鬼没、ローカルなのにグローバル、美しいのに恐ろしい。森の奥で人知れず姿を現しては消える。未知のきのこがまだまだある。

ヒョウモンクロシメジは、いわきではどうか。すでに記録されたキノコか、未発見のキノコか。年末にいわきキノコ同好会の総会・懇親会が開かれるので、会長に聞いてみよう。いや、あいさつか勉強会のなかで話題にするかもしれない。

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