元日の午後、夏井川渓谷の無量庵で雪に降られた話を書いた。車の屋根に雪が積もり始めた=
写真=ので、慌てて街へ帰ったのだった。翌日、「しんぼっちの徒然日記」(ブログ)を読んだら、小名浜は元日の朝、うっすら雪化粧をしていた。「お正月の雪は吉兆」とあった。なるほど。
俳句の世界では、正月3が日に降る雨や雪を「御降(おさがり)」という。新年の季語だ。「御降」と言うくらいだから、「しんぼっち」の言うように正月の雪や雨は吉兆なのだ。
で、「御降」で思い出す俳僧がいる。出羽の国で生まれ、磐城の專称寺で修行し、幕末の江戸で俳諧宗匠として鳴らした一具庵一具(1781~1853年)だ。『一具全集』に「御降」の句がいくつかある。
戸にさわる御降聞(い)て起(き)にけり
御降りや西丸下のしめるまで
御降や小袖をしまぬ歩行(あるき)ぶり
城山や御降ながら暮(れ)かゝる
どうもみんな雨の音が聞こえたり、雨脚が見えたりする。雪ではない。が、雪もまた天から降って来る。
昨日の続きの日の出ではなく、年が改まった最初の日の出を「初日の出」と言うように、正月3が日の雨や雪は、やはり特別の雨や雪、つまり「御降」だ。晴れても、雨が降っても、雪が降っても、要はどっちに転んでも正月はめでたいのだ。そういうことだろう。
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