2010年1月18日月曜日
犬走り
わが家の隣はコインランドリー。境界には、犬走り(わが家側)とフェンス(コインランドリー側)でできた、狭く細長い空間がある=写真。犬走りが切れると道路に出る。庭の生け垣はフェンスとほぼ接しているので、こちらは、すき間はないに等しい。
犬走りは、今や野良猫の専用通路、つまり「猫走り」だ。人間は立ち入らない。せいぜい実生のビワの木を剪定するときに入り込むくらいだ。庭の生け垣と建物の間に座布団1枚くらいのすき間がある。犬走りに立つには障害物競走よろしく、無理矢理体を丸めて、このすき間をかいくぐらなくてはいけない。
2歳9カ月の男の子が遊びに来た。庭で遊び始めたが、寒風が吹きつけるので、何とか言いくるめて家の中に入れた。家の中でも機嫌よく遊んで過ごした。さあ親子で帰って行く段になって、中断していた庭遊びを思い出したのだろう。靴をはかせ、こちらも靴をはいて玄関の戸を開けようとしたら、勝手に開けて出てしまった。
庭に出ると、こちらを見てニヤリとした。次の瞬間、ダッシュして建物と生け垣のすき間から犬走りに姿を消した。
〈あっ、危ない! 突っ走って行ったら、道路に出る〉。慌てて生け垣をかいくぐろうとするのだが、背中と足が枝に引っかかって思うようにいかない。2秒、3秒。車のキキーッという音を覚悟した。
〈地球の外へ行ってしまうかもしれない。親になんと言ったらいいいか〉と思いながら、やっとこさ犬走りに立つと、よかった、5メートルほど先で男の子が止まっている。歩道の手前に柵があって行き止まりになっていたのだ。
柵がなかったら、そのまま道路に飛び出していたかもしれない。心臓が早鐘を打った。足のくるぶしが痛い。見ると、枝でこすれて血がにじんでいた。
男の子は知恵がついて、こちらを出しぬくことを覚えたようだ。それに合わせて、こちらもその上をいくようにしないといけない。つくづくそう実感した“逃走劇”だった。
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