2010年3月10日水曜日
月桂樹のひこばえ
カミサンの実家の庭に月桂樹が植えてあった。ざっと40年前、味噌蔵と物置の北側に種をまいたら発芽したという。最初は日陰の身だったが、味噌蔵を移動すると光が差してぐんぐん成長した。幹の直径が根元で50センチほどにまでなった。
3年ほど前、倉庫を建て替えた。そのとき、月桂樹が切り倒された。カミサンの頼みで根っこが掘り起こされた。根っこは臼になるくらいに大きい。それを夏井川渓谷の無量庵に移植した。枯れるかもしれない。が、月桂樹の生命力にかけたい。なにしろフランスにいる友達との思い出が詰まった木だ。あきらめきれないのだ。
こちらは、根づくはずがないと思っているから、やる気のなさが顔に出る。重い根っこを車に載せる段からぶつぶつ言い、無量庵に着いてからも「無駄なことを」と口の中でつぶやき続けた。日当たりのいい庭に穴を掘り、二人がかりでやっと根っこを据え、土をかぶせて放置した。
すると翌年、根元から枝が伸び、若葉が芽吹いてきた。ひこばえ(徒長枝)だ。芽吹いて、芽吹いて枝の数が増え、切り株を取り囲むようになった。このままでは成長のエネルギーが分散される。育ちのいい枝2本を残してあとは刈り取った=写真。
クスノキ科の常緑樹だ。葉をいっぱいまとうようになった。葉をもむといい香りがする。葉を乾燥させたものは、フランス語で「ローリエ」、英語で「ローレル」。香辛料=料理用ハーブとして広く用いられているという。
移植時の「ぶつくさ」は棚に上げて、強い生命力でよみがえりつつある「食材」の成長が楽しみになった。
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