2010年3月27日土曜日
サマータイム
ヨーロッパでは、3月最終日曜日の28日午前1時からサマータイムに入る。10月最終日曜日まで時刻が1時間早くなるのだ。日本との時差(マイナス8時間)はそれでマイナス7時間になる。
去年、北欧を旅行したとき、デジカメが日本の時間を知るのに役立った。撮影時間は日本時間そのもの。サマータイムだから夕方の5時でも実際は4時、日本では真夜中の12時と分かるのだった。
それはさておき、俳人山口青邨(1892~1988年)は昭和初期、ノルウェーのオスロからベルゲンへ汽車の旅をした。次はその随筆の一部。
「この沿道も山岳地帯であって、とても景色がよい。松、樅、白樺の混林が多い。滝、川、湖水、はては峡江(フィヨルド)までが深く入って来て居る」
「午後7時18分、きちんとベルゲンに着く、感心した。(略)石を積み重ねて土台とした家、石を積んで壁とした家、――ベルゲン駅もそうだ、之等の石は絹雲母片岩とか、石墨片岩であって、大きく板状に石材がとれるのである」
後半の石の話はいかにも鉱山学者らしい観察だ。ベルゲン駅=写真=をそんな目で眺めたわけではないが、青邨の文章を読んで写真を見直した。なるほど灰黒っぽい石を積んでできた駅舎だ。
ついでながら、歌人の土岐善麿に「フィヨルド風景」という歌の連作がある。「断崖のいただき雪渓の突端から落ちる滝は高く飛沫(しぶき)となつて」「小さな教会堂をまんなかに七八軒の小屋が低く山かげの草地」などは、歌詠みでもない人間にも記憶の映像と重なってよく分かるようになった。
サマータイムから北欧旅行時のできごとを思い出し、ベルゲン駅について書かれた文章とフィヨルドの短歌を紹介してみた。
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