2011年2月11日金曜日
クヌギの枯れ葉
わが散歩コースのちょっと先におかしな木のかたまりがある。それを遠目に、家へのコースをとる。特に目立つのが冬場だ。ひこばえが枯れ葉をまとっている=写真。そこは、いわき市平下神谷地内の市北部浄化センター前、夏井川の堤防だ。
堤防の斜面になぜその木があるのか。わざわざ斜面に苗木を植えるような人はいまい。河川敷にはところどころ若松が生えている。いろんな雑木もある。それと同じで実生の木が育ち、大木になった。倒れると堤防を損壊しかねない。で、伐採されたのか。
堤防の上をときどき車で行き来する。ちらりと見る。「気になる木」ながら、わざわざチェックしようというところまではいかなかった。先日、散歩のついでに近づいてじっくり観察した。冬場に枯れ葉をまとっているのはカシワ。いわゆる「かしゃはっぱ」だ。「かしわもち」に使う。それとはまるで違う。
外観はほぼ円錐形。どこから見ても「笑っていいとも」のトモダチの輪のかたちだ。それを構成しているのはひこばえ。ひこばえは、いうならば徒長枝だ。突っ立った髪の毛のようなひこばえの内側には、スパッと水平に切られた幹。幹は直径50センチくらいあるから、結構古い。樹皮の模様(皮目)からクヌギだと判断できた。
クヌギは、若い木ほど冬も枯れて枝にくっついている。ひこばえは幼樹、というより幼枝。幼いから枯れ葉を全身にまとって冬をやり過ごす。それもまた一種の防寒対策なのだろう。
だからどうなんだといわれても困るが、堤防という人工物にも絶えず自然が関与している。自然と人間の交通の結果として、そこにクヌギが根を張った、堤防を壊しかねないほどの大木になった――そんな「物語」を読み取ることもできる。
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