2011年6月12日日曜日

山里の線量を測る②


【スーパー林道】背戸峨廊(セドガロ)入り口に寄ったあとは、夏井川渓谷(牛小川)の無量庵を“線量チェックドライブ”の発着点にする。行きは川前~川内~古道~都路~常葉、帰りは常葉~船引町今泉~小野町~牛小川という、およそ130キロの円環コースだ。標高は200~600メートルだろうか。

最初に“難関”が待っていた。牛小川を起点、川前町・荻を終点とする広域基幹林道上高部線、通称「スーパー林道」だ。幅員5メートル、延長14キロの1級林道である。

スカイラインに沿ってアップダウン=写真=とカーブを繰り返す。牛小川から外門(ともん)へ駆け上がり、さらに神楽山の裾をまくようにして、道が続く。峠が四つある。峠で車内の線量をチェックした。

線量が高いことは分かっていたので、マスクをした。エアコンも止めた。窓を開ける気にはならない。じんわり汗がにじむ。

第一の峠、つまり牛小川に最も近いところで0.722マイクロシーベルト/時だったものの、第二の峠では1.876、第三の峠は1.781、第四の峠は1.747、終点の荻に下って来て<やれやれ>と思った瞬間に1.945にはね上がり、びっくりする。広い範囲で「ホットスポット」になっている。「ホットゾーン」、それが荻地区の実態に違いない。

5月5日に、川前の知人から川内に近い荻や志田名の数値が高いことを打ち明けられた。「何もできないけど、ブログには書くから」。そう言って別れたあと、県道経由で荻へ直行した。翌日、その様子をブログで報告した。

「スーパー林道」はいつ車を走らせても対向車がない。が、今回はなんと、軽トラとすれ違った。日中、人を見たこともない荻の集落では、若い女性が道路を歩いていた。県道までもうすぐ、というところではタクシーとすれ違った。平時と非常時が入れ替わっている。なんだか不思議な気持ちになった。

「スーパー林道」の終点寄り、坂を下る途中で阿武隈高地の最高峰大滝根山が見える。わがふるさとの山だ。最近、その手前に風力発電のための風車群ができた。いわきの平地からは見えないが、山里は、場所によっては景観が大きく変化している。そうしたなかでの大震災・原発事故だ。

山は原発から発生する「放射能雲」の通り道になっている。というより、山と原発は空でじかに向き合っている。20キロ、30キロなんて、ちょんの間だ。阿武隈の山中に分け入り、峠を上ったり、下ったりしていると、そのことがよくわかる。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私のばぁちゃん、おじさんは外門に住んでおります。やっぱり、他地域よりも高いのですね・・・。志田名が高いのはこの前のNHKでやったので分かったのですが・・・。私は常葉在住ですが、行政局だけではなく、山根、関本、西向など、ちゃんと詳細を知らされなくて怖いです。