2025年9月22日月曜日

耕地整理中の田の草

                    
 わが家から夏井川渓谷の隠居までは車で30分余り。平の神谷~中塩~平窪は田んぼ道、そのあとは県道小野四倉線(途中、国道399号と重複)を利用する。

 渓谷は行くたびになにか「発見」がある。自然は絶えず流動している。その生成転移が面白くて通い続けている。

 同時に、そこまでの移動も変化に富んでいる。その中身もまた、自然の流動に起因するものがほとんどだ。

 一つは野鳥。田んぼにコサギやダイサギ、アオサギがいる。もう一つは稲穂。田んぼによって違いがある。

 5月の大型連休を境に、刈田が青田に変わり、夏に向かって生長する姿を見てきた。そして今は稲穂が垂れ、収穫期を迎えつつある。

先日の雨風で稲穂がなぎ倒された田がある。雨風に負けずにすっくと立って頭を垂れている田がある。雑草のない田と、雑草にまみれた田と。田んぼも一枚一枚表情が異なる。

雑草は稲穂より背が高い。ノビエというやつだろうか。ノビエはタイヌビエ、イヌビエ、ヒメタイヌビエなどの総称で、タイヌビエが最も代表的な水田の雑草だという。

ヒエといえば、米と同じ食用穀物だが、それはいわば人間の手が加わった栽培種で、野生種のノビエとは全く別物とみるべき、なのだそうだ。

ネット情報によれば、両者の違いは「脱粒性」にある。野生種は栽培種と違って、登熟(実が稔ること)する中で次々に種子がこぼれ落ちる。ほっとけば毎年いっぱい発生する、というわけだ。

さて、家を出て常磐線の踏切を渡る。と、すぐ「神谷耕土」が広がる。今年(2025年)は圃場整備のために稲作を中止した田んぼが多い。

4月下旬、田んぼにブルドーザーが入り、表土のはぎとり・集積が始まった。やがて一枚の田んぼが大きくなり、ブルはさらに別の場所へ移って同じ作業を繰り返した。今もその工事が続く。

真っ先にブルが入った田んぼにはやがて草が生え、直まきした稲の穂のような青田になった。その田んぼを見ているうちに興味がわいた。なにもないまっさらな田んぼである。そこから最初に何が生えてくるのか。

乾田だったのが、雨で水が張られた状態になったときもある。で、その後は見るたびに草が生長し、緑の海になり、生長した姿がこれである=写真。

9月14日朝。出羽神社の祭礼(式典)に出席したあと、いったん帰宅し、隠居へ行くために、再度、神谷耕土を通った。

踏切を渡るとすぐ、助手席のカミサンに頼んで、稲穂ならぬ田の草をパチリとやった。ノビエと思われるがどうだろう。

田んぼは、人間が必要な時に必要な手を加えることですっきりした稲穂の海になる。自然に任せたら、たちまちノビエの海に代わる。耕地整理中の休耕田を見続けているうちに、そんな感想がわいた。

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