2011年6月16日木曜日

山里の線量を測る⑥


【今泉・小野新町・牛小川】夏井川渓谷(牛小川)の無量庵を発着点に、線量計をもって阿武隈の山里を巡り、田村市常葉町の実家で震災被害を確かめ、ついでに散髪してきた話の最終回。

実家から牛小川までのルートは単純だ。いつものようにJR磐越東線磐城常葉駅のある田村市船引町今泉に出て、磐越東線と夏井川に沿って無量庵に戻るだけ。同じ阿武隈高地の山里だが、アップダウンンはほとんどない。いわきに入れば、ずっとダウンヒル状態だ。

往路は分水嶺の東側、傾斜のきつい山里を巡った。ときには車の窓を閉め、エアコンを切り、汗にまみれながら。帰路は分水嶺の西側、隆起準平原である。なだらかな高原のなかを、車の窓を開けて、乾いた風を受けながら走った。

まず、磐城常葉駅となりの消防詰所前。0.195マイクロシーベルト/時。次に、田村郡小野町字小野新町の小野町文化公園駐車場。0.179。小野町といわき市は峠を下ってからの境界になるが、その手前、右手の空堀を磐越東線が走り、すぐトンネルに入るあたり。小野町夏井字清水地内で0.212。あとは牛小川までノンストップだ。

と思ったが、いわき市に入ってすぐの川前町下桶売字五味沢地内、交差点で線量を測る。0.199。下って、同川前字荷付場、閉鎖中の「山の食。川前屋」付近。0.195。

その中間で一回、車を止めた。川前町川前字宇根尻地内の砂押踏切を越えたあたり、磐越東線の山側斜面にニッコウキスゲが咲いていた=写真。その日は6月8日。牛小川に自生する谷間のニッコウキスゲは、決まって5月末に開花する。ちょうど開花シーズンに遭遇したのだった。

いわきのニッコウキスゲは、どういうわけか大群落にならない。ミニ群落が点在しているだけ。平地の平・大室、中塩などでは杉林が伐採されたときに、ミニ群落が出現する。川前の小白井にもミニ群落がある。夏井川渓谷では、籠場の滝から無量庵の間でぱらぱら咲くのを見るが、それ以外はどうか。

砂押踏切付近のミニ群落とは初めての対面だった。いわば、ニッコウキスゲの「ホットスポット」、いや心がほぐれる「ほっとスポット」だ。それが阿武隈高地に散在している、という図式だろうか。

午後4時過ぎ、牛小川に帰還した。牛小川踏切、0.210。肝心の無量庵の数値は? 線量チェックのドライブに出かける前、天然芝の庭を測ったら、0.401とやや高い数値が出た。雨だれに打たれるデッキ(濡れ縁)は0.329。無量庵の中をチェックする。茶の間0.188、台所0.222、風呂場0.173。晴れて風の強い日に戸を全開したのが影響しているようだ。

三春ネギはどうか。越冬したままの畝の土0.350、耕起したネギ苗の溝の土0.195、三春ネギの土付き余り苗0.231。天地返しをやれば数値が下がることがわかった。

ざっと130キロ、60地点。「南あぶくま」の山里の放射線を測定した結果として、こんなイメージがわく。

「ホットスポット」はもちろん、忌避したい。それを、これからも注意深く探っていかなければならない。きめ細かな観測が必要だ。

一方で、わが菜園のような場合は――。畑の一角にやや深い溝を掘る。生ごみを埋める前に、底に草と表土をけずって入れる。家庭菜園の表面積などはたいしたことがない。今度の「線量チェックドライブ」では、三春ネギが最も気がかりだったが、自分なりに「心配なし」という判断をくだした。

1 件のコメント:

fuji さんのコメント...

はじめまして(実は初めましてでもないのですが)
時々ブログを読ませて頂いています。
近く、会のような報告会があるそうです。
ご存知かとは思いましたが、お知らせまで。

「いわき地区放射能調査報告会」
   講師 木村真三氏
   6月19日(日) 午後2時~4時
   いわき市小名浜市民会館大ホール
   入場無料
   主催  いわき地区放射能調査委員会
   協賛  脱原発福島ネットワーク

木村氏は先日NHKのETV特集で福島県の汚染調査について取り上げられました。ぜひお聞きいただきY様のご意見を伺えればと思いました。
長文失礼いたしました。