2014年8月31日日曜日

ミソハギ

 夏井川渓谷の隠居(無量庵)の庭にある、風呂場の前の花壇は除染の対象外だった。震災前に一度、イタリアから里帰りをしたカミサンの同級生に花壇をつくってもらった以外は、ほぼ手をかけずにきた。3月にはスイセンが咲き、5月には自生のアヤメが咲いた。今はミソハギ(あるいはエゾミソハギ)が咲いている。ハチが来ていた=写真。

 ミソハギの苗を植えたり、種をまいたりした覚えはない。カミサンもそうだという。「ただ、種をまとめてまいたことはある」。いわゆる「種団子」で、その土に合った種だけが芽生える。その「種団子」のなかにミソハギの種(あるいはエゾミソハギ)がまざっていたのかもしれない。

 ミソハギは湿地性の植物だ。隠居の下の空き地は、今はヨシが生い茂っている。盛り土をしたとはいえ、隠居の庭も湿った岸辺のようなものなのだろう。

 ハチも気になった。まちなかにあるわが家の庭と違って、周囲は「虫の王国」だ。ときどき、見たこともない虫が現れる。ミソハギにやって来たのはハラアカヤドリハキリバチだった。ネットで検索してわかった。漢字で書けば「腹赤・宿り・葉切り・蜂」。頭や胸は黒く、腹は名前の通り赤い。

「労働寄生」という戦術を取るらしい。オオハキリバチの巣に侵入して卵を産みつけ、子育てを宿主にまかせてしまう。だから「宿り」。腹の外は赤くても、中は黒い? 

 カッコウはオオヨシキリやモズの巣に托卵する。宿主の卵より少し早く孵ったカッコウの雛は、宿主の産んだ卵を巣外に放り出し、えさを独り占めして育つ。それと同じだ。

 自然環境のなかには「共生」「寄生」のほかに、冬虫夏草のような「殺生(さっせい)」もある。長い時間をかけてできあがった自然界での「関係」の不思議を思う。

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