快晴、無風。きのう(4月12日)の日曜日は、朝から花見日和になった。前日に続いて夏井川渓谷の隠居(無量庵)へ出かけた。朝9時前には着いた。隠居の隣の「錦展望台」にはすでに駐車の列ができていた=写真。
ピンクのアカヤシオの花だけではない。落葉樹の木の芽が吹いて、臙脂(えんじ)・黄緑・緑・茶……と、ほんのりパステルカラーに染まっている。隠居の庭のカエデも赤く小さな花をつけた。いち早く谷間に春を告げるアカヤシオだが、その花と木の芽のコラボレーションは珍しい。
雨と寒の戻りで、人も花もちぢこまっていたのが、一気に全開した感じだ。自然と足が渓谷に向いた、という花見客も多かったのではないか。けさは曇り。やがて雨になるというから、たまたま雨雲がとぎれ、青空が広がった。それが日曜日と重なった。
福島民報が記事にし、NHKがローカルニュースで伝えた。自分の土地を展望台に開放したSさんが、新聞にもテレビにも登場した。そのSさんに「テレビで見たよ」、大熊町からいわき市に避難しているという花見客が声をかけた。たまたまSさんと立ち話をしていたので、「大熊町の野上川(熊川)渓谷にもアカヤシオはあるでしょう」と聞くと、「ないなぁ」。
午後になってもひっきりなしにマイカーがやって来る。何台か路上駐車をするなど、この春一番のにぎわいになった。同じいわきの平地から川筋を上がってきた人、中通りから下ってきた人と、花見客は大きく2つに分けられる。
今年はさらにこんな人たちもいた。東京から電車でいわき駅まで来て、そこからバスで花見に来たグループがいる、とSさん。カミサンが隠居の近くでタクシーを見つけた。運転手に聞くと、お客は青森県八戸市の人だという。東北新幹線で郡山まで来たあと、小野新町からタクシーで40分かけて渓谷にやって来た。
時刻表を追ってみた。朝6時41分八戸発の新幹線に乗り、仙台で乗り換え、郡山からは1時間待ちで小野新町止まりの磐越東線を利用したあと、タクシーで夏井川渓谷へ――という流れでくると、出発から4時間余りあとの11時半にはアカヤシオの花と対面している。
3月14日に常磐線の上野東京ラインが営業を開始した。4月1日には「ふくしまディスティネーションキャンペーン」が始まった。JRとメディアの情報発信が相次ぎ、それらが相乗的な効果を発揮して、遠距離からでも花見に来る人が増えた、ということだろうか。
いわきからも、たとえば八戸の蕪(かぶ)島へ日帰りでウミネコを見に行く――そんな計画も可能な時代になったのだ。
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