2015年4月30日木曜日

「撮り鉄」をしてみた

「川前のカツラ」を見に行ったら、ひらめいた。日曜日(4月26日)、午後1時半。谷間をJR磐越東線の気動車(ディーゼルカー)が通る時間が近づいている。
 川前町から小川町にかけて続く夏井川渓谷には、小集落が点在する。下流から江田・椚平・牛小川、そして川前のいくつかの集落。宇根尻はカツラの巨樹がある川前駅前の集落から上流へ向かって最初に出合う集落だ。V字谷のなかでも開けたところで、田畑の間を線路が走っている。並行する道路沿いには家並みがあり、花が咲いている。

 その集落と田畑の間を走る2両編成の気動車を写真に撮りたい――前々から思っていたことを実行するチャンスだ。

 宇根尻踏切のそばに立つと、休耕田らしいところに菜の花がびっしり咲いているのが見えた。川べりの農道を進んで菜の花畑に近づく。と、さらに用水路のわきにスイセンの花が咲いている。前景にスイセン、中景に菜の花、その奥に気動車と集落――という構図を決めた。

 磐東線の午後一番の列車はいわき発郡山行きの下りで、わが隠居のある牛小川を午後1時35分ごろに通過する。それから加算すると、川前駅をたち、宇根尻集落を通過するのは同1時45分ごろだ。

 宇根尻踏切の警報機が鳴りだしたのでカメラを構えたら、現れたのはなんと山から下って来た上りの列車ではないか=写真。あとで時刻表を見たが、13時台の上り列車は平日も日曜日もない。臨時列車だろうか。目当ての下り列車ではなかったが、思いえがいた構図のなかでまずは列車を撮ることができた。

 これまでに「撮り鉄」をしたのは何回もない。磐東線をSLが走ったとき。そして、宇根尻からさらに上流の棚木に、夏井川をまたぐ“空中鉄橋”がある。そこを渡る列車を、小高い丘の墓地から撮影した。磐東線のダイヤが頭に入っているからこそ、通りがかったときにたまたま「撮り鉄」になったにすぎない。

 列車の本数が少ない。乗客も少ない。2両編成の気動車が谷間を必死になって駆け抜ける。ローカルだからこそ味わえる、あったかな光景だと思っている。

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