昔、住んでいた地区の山すそを巡る農業用水路のそばに、風と水と太陽光で発電する学習施設ができた。そこは日曜日、幼い子どもを連れて遊びに行った神社の境内でもある――。
40年ほど前、結婚していわき市平下平窪の市営住宅に住んだ。庭付き木造平屋だが、ぼろ家のために家賃は安かった。似たようなつくりで少しは大きい福島高専の先生の官舎もあった。斜め前に恩師が住んでいた。なつかしくもあり、けむたくもありで、ときどきあいさつにお邪魔した。カミサンの中学校の同級生である橋本さんも住んでいた(今は退官して名誉教授だ)。
やがて子どもが生まれ、親が子どもを介してつながった。子どもたちだけで遠出をし、親が心配しておろおろする事件もおきた。わが子2人は遠出に加わるには小さすぎた。
私たちは間もなく、今のすまいであるカミサンの実家(米屋)の神谷支店に移った。恩師も学校の近くの住宅団地に移り、橋本先生も同じ平窪の別の場所にマイホームを建てた。
新聞記事をきっかけにしてネットから拾ったのだが、いわき地域環境科学会とNPO法人いわき環境研究室の有志で「いわき自然エネルギー研究会」が発足した。橋本さんが代表を務める。
その研究会が橋本さんの住む平窪・小川江筋沿い、諏訪神社の境内の一角に、小学生のための自然エネルギー学習施設をつくった。水車がある。風車がある。太陽光パネルがある。要は、水力・風力・太陽光の複合的な小規模発電施設だ=写真。小学6年生が野外学習の一環として、ここで自然エネルギーについて学んでいるのだという。
わが家から夏井川渓谷の隠居へ行くとき、神谷~平窪の間は山すそ近くの田んぼ道を通る。自然エネ学習施設の存在を知ってからは、江筋に沿って車を走らせるようになった。
あるとき、その施設のわきに橋本さんが仲間と立っていた。あいさつしようと思ったが、カミサンに「邪魔しないで」と言われて通りすぎた。地道な活動を続けていることがよくわかった。
晴れていれば太陽光発電パネルが起動し、風が吹けば風車も回る。水車は雨上がりの日にゆっくりと回っていた。
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