2015年4月15日水曜日

ちゃわん屋の木工展

 いちおう陶芸を生業にしているものの、木工もやる。絵も描く。阿武隈の山里・川内村に、奥さんとともに工房を構える志賀敏広さんだ。同村上川内字緑4-9の志賀林業ログハウスで、5月1~6日に開く「ちゃわん屋の木工展」の案内状が、きのう(4月14日)届いた。
 陶芸の志賀さん夫妻が以前住んでいたかやぶきの古民家が4月3日早朝、全焼した。2、3度訪ねたことのある「あぶくまの宝」が失われた、といったことをブログに書いたばかりだ。その古民家の代わりというわけではもちろんないが、新しい川内の「木の家」ができた。

 手紙にはチラシが2枚入っていた=写真。ログハウスと、木工展と。今度の展覧会には2つの目的がある、ということだろう。

 震災前、志賀林業が川内産の木材を使ってログハウスの社屋づくりを始めた。震災、原発事故、全村避難、帰村、除染、そして村の林業復興を期して、5年がかりで社屋が完成した。そのお披露目が1つ。川内を象徴する新しい木の家で、陶器と木工展が開かれる。2つ目がそれ。しかも、木工の材料は志賀林業から譲りうけたものだ。

 陶芸家がつくるテーブルといすのセットが気に入って、夏井川渓谷の隠居の庭に一式を据えた。丸太の脚に角材を渡し、その上に板材3枚を並べたのがテーブル。いすは丸太を半分に割った長いすで、4カ所に穴をあけて脚をはめた。十数年たってテーブルの脚が腐ったため、3年前に志賀さんに頼んでそれだけ新調した。

 ゆうべ、案内状が届いたあと、電話をかけたら奥さんが出た。実は、チラシに添えられた一筆の最後に「これまで、いろいろお世話になりました」とあった。少し気になったので、その点を尋ねると別に変わったところはない、はずみでそんな文言になったのでは――という。「辞世のあいさつ」ではないと知って大笑いした。

 土志工房・志賀敏広さんと、ログハウスを建てた志賀林業・志賀泰三さんの交友は、次の敏広さんの文から分かる。

「川内村は木材に恵まれた土地で、マキストーブやマキ窯で燃料にしてしまうにはもったいないような木も多」い。そこで、「生き残った木材でテーブルや椅子(いす)ができないものかと折にふれて試作して」きた。「その木のほとんどが志賀林業さんから譲り受けたものなので(略)ログハウスにそれらの木工品を展示してみたいと思った」

 大型連休の川内は、木々が芽吹いて山が笑っていることだろう。いわきからの最短距離は、わが隠居のある夏井川渓谷から“スーパー林道”(広域基幹林道上高部線)を駆け上がり、終点T字路を右折して下川内に入る、あるいは左折して上川内に出る、のどちらかだ。工房へは右折するのがいいが、ログハウスは上川内にある。左折ルートで行こう。

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