2025年4月30日水曜日

谷間のシロヤシオ

                                              
   4月最後の日曜日(27日)。いつもより1時間早く、朝8時過ぎには夏井川渓谷の隠居に着いた。

 渓谷の手前、小川町の高崎地内ではウツギの白い花が咲いていた。「地獄坂」を上って渓谷に入ると、やはり白い棒アイスのような花が待っていた。ウワミズザクラだ。

 周りの森はヤマザクラの花が散って新緑に包まれている。ちょっと前まで空が見通せた渓谷の道路も、淡い緑のトンネルに変わった。

 籠場の滝の近くでは、紅紫色のトウゴクミツバツツジの花。ここもアカヤシオ(岩ツツジ)とヤマザクラの花は散って、「山笑う」から「山滴る」に変わりつつある。

隠居では庭のシダレザクラの樹下に直行した。4月13、20日と、アミガサタケが頭を出していた。27日は?と見れば、やはりあった。この春一番の大きさだ。大小合わせて5個を採った。

それからいつものように畑に生ごみを埋め、庭を一巡りした。アミガサタケ以外は、ふだんと変わらない。草が芽生え、丈が伸びて緑のじゅうたんが広がりつつある。

シロヤシオ(ゴヨウツツジ=方言・マツハダドウダン)はどうか。対岸には白い花はなかった。

少し下流の谷間には「マイ・シロヤシオ」がある。県道を行き交う車からは見えない。隠居からガードレールに沿って100メートルほど進み、木々の間からのぞくと、渓流にこぼれ落ちるような感じで白い花が咲いていた=写真。

シロヤシオは毎年咲くとは限らない。咲いても数が少ない年がある。マイ・シロヤシオは、その開花の有無を確認できる「標本木」でもある。

拙ブログを読むと、9年前(2016年)の4月24日はこんな具合だった。

――隠居へ着くと対岸の急斜面にはシロヤシオの点描画が展開していた。谷間のシロヤシオは、行楽客には木々の緑に遮られて見えない。その木の全体を見るにはガードレールをまたぎ、谷へと下って行かないといけない。足場はよくない。

 岸辺の岩盤に根を張り、天に向かって伸びた幹から枝葉が川になだれるように垂れている。そう、花のかたまりは白いドレスのようだ。

 このシロヤシオに気づいたのは震災後だった。県道をぶらぶら歩いているうちに、木の間越しに白いかたまりが見えた。

一本の木の花の数としては溪谷随一ではないか。ササの茎につかまりながら谷へ下り、ひとり、対岸のシロヤシオの花と対面した。心が洗われた――。

 ブログには、シロヤシオと開花時期が同じトウゴクミツバツツジやヤマツツジ、ウワミズザクラも咲きだしていた。いつもだと、開花を確認するのは新緑に包まれた5月初旬だ。例年より1週間余り早く開花した――ともある。

草木は年々開花を早めているようだ。2021年は4月中旬に開花を確認した。私が渓谷に通い始めた30年間では最速だった。シロヤシオはもう4月下旬の花になったのかもしれない。

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