2010年10月9日土曜日

老猫


わが家に猫がいる。複数は御免こうむる――。ところが、カミサンとか息子とか、あるいはカミサンのきょうだいとか、猫好き・犬好きに囲まれていると、そうはいかない。何匹も身のまわりにいる、ということになる。そういう状態が続いている。

家猫は今、3匹。当然、私は猫の世話などはしない。せいぜいカミサンにいわれてキャットフードを買いに行く運転手になるだけだ。家猫のほかに、えさをやる外猫が何匹かいるらしい。猫屋敷にはなりたくない、と思うのだが、猫かわいがりには通じない。

家猫の3匹のうち、古参の雄猫が急激にやせた=写真。肩に傷もある。長男が東京にいたとき、捨てられていたので――と拾ってきたのを、カミサンが引き取った。10年以上前のことだ。

東京生まれのこの猫は、大きくなると家を飛び出してえさを食べに来るだけになった。腹が減る。すると、わが家に戻ってキャットフードを食べる。すぐ飛びだす。何日も帰って来ない。こんな「さすらい猫」だったのが、もう外へ行かなくなった。

いつだったか、日曜日夕方のNHKテレビを見ていたら、カメラマン荒木経維さんのドキュメントをやっていた。奥さん亡きあとの家族、猫のチロを死ぬまで撮り続けて、写真集『チロ愛死』を出した。

やせこけたチロを見たころ、やせこけた猫がわが家に帰ってきた。もう外へ出られる体力はないらしい。今は、一番怖いはずの私のベッドの隅っこで日がな一日寝ている。

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