2010年10月20日水曜日

心平がゆ、再び


10月初め、「心平がゆ」について書いたら、川内村の「春風」さんからコメントをいただいた。「心平」はむろん、いわき市出身の詩人草野心平。その心平が考案?した、ごま油を使ったかゆを何度かつくったという。「少し大げさですね」という感想が添えられていた。

かゆのレシピの記述が大げさなのか、台湾でのホテルの朝食から、中国の食文化と心平の食習慣を直結させたのが大げさなのか――よくは分からないが、どこかで無理があったのだろう。

あとで草野心平の『仮想招宴』(あまカラ選書――KKロングセラーズ社刊)を読んだら、本人が「心平がゆ」に触れていた。タイトルは本の題名と同じ「仮想招宴」。

(このお粥なんかしらねえ)/〈團伊玖麿ンところでは心平粥ってんだ。八丈でつくったら。そんな名前つけられちゃった〉/(教へて下さい。あたしもつくるから)/〈簡単さ。米と水と胡麻油。水が五で油が二.たっぷりね。あとは時間〉/(胡麻油?)/(ちっとも油っぽくないわね)

米に対して「水が五で油が二」だとしたら、確かに油は「たっぷり」だ。「米と同量のごま油」どころではない。ここは「春風」さんにレシピを教えてもらうほかなさそうだ。

天山文庫=写真=でも朝はかゆかパンだったそうだ。同じ『仮想招宴』には「以前は粥もパンも、あまり好きではなかったが、近頃は普通の白飯は胃に重たく、特に朝は食欲もかぼそく、お粥かパンをとることに決まってしまったかのようだ」、その割合は「粥も毎朝だとアキがくるので三日に一度はパン食にする」という具合。

ついでに紹介すれば、『草野心平全集 第12巻』所収〈食物考〉の「チャンポン粥」には心平がゆに青菜を微塵にしてふりかける話が出てくる。そのかゆは「油独特のぎらぎらなどはすっかり消えてしまって相当すんだものが出来上る」。今度はちゃんと意識して心平がゆを食したいものだ。

1 件のコメント:

春風 さんのコメント...

おばんです。
「おおげさ」と言ったのは何のことはありません。「s氏から伝授された。」と言う表現がいかにもたいそうなものを教わったと言うように僕がおおげさに書いたことを言ったものです。レシピは正しく貴殿の言われる通りのものです。

誤解を招くような稚拙なコメントを書いてしまいました。今後とも宜しくお願いいたします。