無量庵は夏井川渓谷の小集落(牛小川)にある。何度も書いていることだが、私は週末だけの半住民だ。生き物の王国に間借りしているような感覚がある。あらためてそのことを思い知った。
土・日を無量庵で過ごす。すると、季節や時間帯によっていろんな生き物が姿を現す。夏場であればカ、ブヨ、アブのほか、アリ、キイロスズメバチ、アシナガバチ、その他さまざまな甲虫、オニヤンマなどが侵入する。
〈おれらのテリトリーになぜ家を建てたのだ〉――。人間からみたら虫たちは侵入者だが、彼らからみたら人間は侵略者だ。どうしても自分の意識が自然とむきあうなかで相対化される。
キジバトがガラス戸に突っ込み、ガラス片を廊下に散らしながらも、首を折らずに飛び去ったことがある。台所の外のカエデの木にヒヨドリが巣をかけたことがある。ジムグリの子どもが風呂場にいたことがある。ゲジゲジが浴槽に落っこちて水死していたことがある。
ノネズミもどこからか入り込むのだろう。黒いけし粒のようなフンがあちこちに落ちている。それと同じルートで現れたに違いない。サワガニが玄関のたたきで死んでいた=
写真。これには驚いた。
サワガニは清流にすむ。牛小川が水のきれいな環境であることは、先刻承知のことだ。が、無量庵に入り込むようなことは今までなかった。今年の夏の猛暑がサワガニを小流れから追い出したか。たまたま移動中に迷い込んだか。いや、なにかがおかしくなっている、そういう自然のシグナルではなければいいが。
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